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女性にやさしい漢方のお話

通称「首イボ」でお悩みの方に!これもヨクイニン(はとむぎ)がいいんです

202292113123.jpg      2022921132454.jpg       2022921152147.jpg   2022921152510.png       今回は首にぽちっとできる「首イボ」のお話です。当店にご来店のお客様の中にもこの首イボに悩む女性が多く来店されています。首の周りだけでなく、脇のあたりや胸の下などにもできますね。夏になると首回りが開いたお洋服を着ることも多くなり、急に気になり始めます。あらっ、こんなに増えてる~とショックを受けている方も多いのではないでしょうか。この首イボ、イボという名で呼ばれていますが、実際は、よく言う「いぼ」とは違いヒトパピローマウイルスによるものではなく、良性腫瘍に属するもので俗に老人性イボ(脂漏性角化症)と呼ばれます。この老人性イボが出来るメカニズムは、皮膚に紫外線が当たると、表皮の基底細胞にあるメラノサイトによってメラニンが生成されます。これはメラニン色素を含む表皮細胞でバリアを形成し、皮膚細胞が紫外線のダメージを受けないようにするためです。こうすることで、紫外線によるDNAの破壊を未然に防いでいるのです。つまりメラニン色素は肌トラブルや病気を防ぐために無くてはならないものといえます。しかし歳を取るにつれ、新陳代謝が低下して、このメラニンの排泄がうまくいかなくなると、老人性のイボが出来てしまいます。そして、放っておくと増えたり、大きくなってしまいます。紫外線の刺激や、洋服が接触する刺激によって増えたり大きくなる可能性があります。医療機関では液体窒素や炭酸ガスレーザーで焼き切ったり、大きいものははさみで切る治療が行われています。跡が残るのが難点ですが手っ取り早くとることが出来ます。あんまり多い人は1度や2度は治療されてる方が多いですが、体質によるところも多いのであとからあとからできてくるので、何とかならないかなあ~とご相談に来られます。大きいイボの方では、5㎜位の長さのイボが垂れ下がったようになっておられ、ご相談の最中にも、なんだかちぎって取りたくなるという感じでいじっておられますが、触っているとその刺激で大きくなることがありますので、なるべく触らない方が良いです。

 イボは古くからハトムギを使って治療が行われてきました。当店のオンラインショップにある「薬膳シリアル」は皮を取って炒ったハトムギとクコ子を合わせていて、二つの生薬が相乗効果で肌の新陳代謝を向上します。当店のお客様の中にはこのシリアルを毎日ヨーグルトと合わせて朝食に召し上がって、首のイボが取れてきたと喜んでいただいています。70歳を超えた女性のお客様です。その他にも当店には漢方製剤としてヨクイニン、夏枯草、甘草を配合した商品「コイクラセリド」があり、効能として「イボ」を取得しています。やはりこちらを根気良く服用継続していただくと、本当に効果が出てきます。このイボの改善に必要なのが、肌のターンオーバーを回復し、肌の再生を上げていく事、つまり肌の新陳代謝を上げることが大切です。この肌の新陳代謝を上げるために大きな力を持っているのが、生薬のヨクイニンです。ヨクイニンは内服することで肌に働きかけ、肌の水分代謝を促進して、余分な老廃物の排出をスムーズにすることで肌への水分と栄養の循環を改善し、肌のターンオーバーを早めてくれます。肌荒れ、サメ肌、肌のザラザラ、などにも効果があり、女性にとっては本当にうれしい生薬です。成分としては、ウイルス性のイボに効く「コイクセノライド」羽田煎じたエキス成分に含まれていて、抗がん作用があるともいわれています。肌の新陳代謝を上げる成分は、皮を取ったハトムギそのものを粉末にした、生薬末の方に多く含まれていると言われています。美肌には、写真の「薬膳シリアル」もかなり効果的と言えます。

 また、化粧品の中にも皮膚の新陳代謝を促進するものがあります。当店のオンラインショップでご購入可能な「リスブラン・ミネラルバランス」です。ミネラルは人体では作り出せないため、外から補う必要があります。もちろん食事からしっかり補う事が大切です。リスブラン化粧品に使われている水(化粧品の96%以上が水)は八ヶ岳の湧き水の女取湧水を特殊な技術でπ化しているため浸透力がバツグンです。この強力な水のお陰で極力添加物を減らして化粧品を製品化することが出来ています。この「ミネラルバランス」は、このπ化された水に、肌に最も必要な4種類のミネラルを配合し、肌の保水作用を高め、肌荒れを防ぎ、新陳代謝を改善して、ハリと潤いのあるお肌を保ち、不安定になりやすい肌バランスを整えます。眉毛が薄くて困っている方にも効果的でした。首イボの方には根気よく使っていただき、イボが柔らかくなってきて、ぽろっと取れたとご報告をいただいています。この季節、汗とともに大量のミネラルが肌から出てしまっています。秋にお肌の疲れを感じさせないための必須アイテムです!!

 また、漢方薬の塗り薬で「赤色ワグラス軟膏」は生薬のトウキ、紫根の働きで、抗菌、抗炎症、肉芽の発生を促進し、皮膚の新陳代謝を促進します。傷などに使うと傷口がとても早くふさがるので、驚かれるほどです。イボの他にも湿疹、ドライスキン、あかぎれ、かかと、ひじの角化症、ニキビ、吹き出物、シミ、しもやけ、などあらゆる皮膚の疾患に使えて、皮膚の回復を助けます。もともとは「紫雲膏」という、花岡青洲が作った塗り薬が基本処方で、その紫雲膏から豚脂(豚の油)を除いた処方になります。こちらも、首イボに毎日薄くすりこんでいると、いつの間にかイボがポロっと取れたと言われます。

 首イボもウイルス性のイボも、当店では「コイクラセリド」の内服とその人に合った体質改善薬、さらに美容液「リスブラン、ミネラルバランス」又は「赤色ワグラス軟膏」(または両方)を根気よく続けていただく事で、改善されています。当店の経験では、一か月くらいの継続ではあまり変化がなく、2か月以上経過するころには、柔らかくなった、ポロっと取れたなどのお声をいただいています。1週間や2週間で効かないと言っている方は、根気が足りません。ですから2か月くらいは根気よく続けるつもりで始めてくださいね!イボだけでなく肌荒れもよくなったり、お肌に良い効果がありますよ!!是非お気軽にお問い合わせくださいませ。

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子宮頸がんの前段階、子宮頸部異形成で漢方がお役に立てること

2022818172257.jpg子宮頸がんとは、子宮下部の管状の部分に出来るがんの事を言います。以前は40~50代が発症のピークと言われていましたが、最近では30歳代後半がピークと言われています。国内では毎年1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しています。近年患者数も死亡者数も増加してiいますいると言われています。

子宮頸がんの原因

子宮頸がんの原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることは皆様もご存じだと思います。このヒトパピローマウイルスはありふれたウイルスで性交経験のある女性のほとんどが感染していると言われています。しかし、HPVに感染しても、90%の人は自分の免疫の力でウイルスが完全に排除されます。しかし残り10%の人で、HPV感染が長期間感染持続をしその中で、自然治癒しない一部の人は子宮頸部異形成と呼ばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。このヒトパピローマウイルス(HPV)はイボを形成するウイルスでもあります。日本語ではヒト乳頭腫ウイルスと言い、感染すると乳頭のような盛り上がった腫瘍(イボ)を形成することからこの名前がついています。その型によっては悪性化するものがあることが分かっています。悪性腫瘍と関係のあるHPVはハイリスクHPVと呼ばれ、代表的なHPV16,と18型さらにはHPV31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、が関係していると言われています。たとえハイリスクHPVに感染したとしてもやはり90%は自分の力で排除しています。その後10%の人が長期感染持続をして、その後に子宮頸部に異形成(正常細胞ではないもの)が見られたとしてもまた、数年~数十年をかけて子宮がんに進展するというわけです。子宮頸がんになる道のりは長いですね。その他の臓器に出来るがんでも、1つの細胞がガン化してⅠ期の初期がんになるまで20年近くかかると言われていますから同じかもしれません。この子宮頸がんはがんの前段階の異形成細胞の時に健診で分るので、健診はとても有意義だと思います。

子宮頸部異形成といと言われたら

子宮頸部異形成とはとは、子宮頸がんの何歩か手前の状態であると言えます。異形成・・・正常とがんの中間の状態。この子宮頸部異形には3つの段階があり

軽度異形成(CIN1) 中等度異形成(CIN2) 高度異形成(CNI3)の段階があります。

軽度異形成ではその5年進展率8.4%、中等度異形成では34.5%と言われています。

高度異形成(CNI3)は子宮頸がんの1歩手前の状態と言えます。軽度異形成(CNI!)中等度異形成(CNI2)と診断されると、3~6か月ごとの定期健診を受けるのみとなります。医療機関ではその間は何の治療も行われません。一部の人が高度異形成に変化するわけですがどのような人が変化するのか分かっていません。子宮頸部中等度異形成(CNI2)が1年以上継続する場合には5年以内に20%が子宮頸頸部高度異形成(CNI3)に変化すると言われています。中等度異形成が続くと不安な毎日を過ごさなければなりませんね。

子宮頸部高度異形成(CNI3)と診断されると、子宮頸部を円錐切除する手術が行われます。手術後の妊娠、出産も可能な手術の様です。

子宮頸がんについて漢方ではどのように考える?

子宮頸がんに限らず漢方では、がんに対しては瘀血(血の滞り)であるととらえます。さらには子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であることが分かっていますから、このウイルスという「邪気」に対して気血水の力が落ちて、免疫力が低下していると考えます。つまり「邪気」をはらう力が落ちていると考えます。まずは瘀血であるという事ですから漢方では子宮の血流を改善して、子宮内に滞っている血を新しいものに新陳代謝をしていく事を考え当帰、芍薬、センキュウ、牡丹皮、桃仁、さらには田七人参などの生薬を使い、血流改善を目指します。また、ヒトパピローマウイルス(HPV)のような強力でないウイルスに対して身体が増殖や持続感染を許してしまうという事ですから、邪気を払う力を養うために身体の気血両方に力を付けていく事を目指し、腎や脾を温めて機能を高めて全身への血流やリンパ液の流れを活発にするために、黄耆、人参、地黄、当帰などの正気を養う生薬を使った漢方処方を考えていきます。

特に、子宮頸部異形成であるという事は、まだがんではないが、がんになる可能性がうかがわれるので、要観察であるという状態です。漢方の世界ではこのように、発病してはいないが、何か不調があり発病の可能性があるという状態を「未病」言います。2000年以上も前の中国の書物「黄帝内経素問」の中に「聖人は未病を治す」と書かれていて、予防の重要性がそのころすでに認識されていたことがわかります。「未病」とは軽いうちに異常を見つけて病気を予防しようという考えです。最近では様々な検査が進歩しており、自分では病気であると自覚できなくても検査異常により身体の変化に気づくことが出来ます。症状は現れていないが、検査値に異常があるという事は、「未病」であるととらえ、その時点で、病気

を発症させないための治療「治未病」が出来るという事です。西洋医学の進歩によって体の状態を知ることが出来、漢方には「未病」に対する治療がありますから、これこそ西洋医学と東洋医学を融合させて、私たちの病気の予防に役立てていきたいところです。

当店では、子宮頸部中等度異形成が2年以上続いて、ご相談に来られ、その方に合った漢方薬をお選びして次の健診では軽度異形成に改善し、その後も漢方薬を続けていただき異常なしとなる方が多くあります。中には高度異形成から軽度異形成へと改善する方もあります。ほとんどの方が、生理痛があったり、冷え性、などの女性特有の悩みを抱えている方が多く、中には子宮内膜症や子宮筋腫を併発されている方もあります。漢方薬は子宮頸部異形成だけを改善するにとどまらず、その他の症状も同時に改善していく良さがあります。もちろん、食養生、睡眠、休養など本人の身体を治そうとする養生が必要なことは言うまでもありません。動物性脂肪の多いジャンクフードばかりを食べて、身体を冷やすような冷たいものの多飲、睡眠不足や過労の状態で漢方薬を服用しても効果はありません。

​ヨクイニン(ハトムギ)の効果について

医療機関と大学医学部との共同研究において、ヨクイニンのエキス製剤を子宮頸部軽度異形成の患者に対して投与するという臨床試験が実施され、有用性と副作用を検討したデータを見ることが出来ます。それによると、ヨクイニンエキスを投与した群では軽度異形成から正常になったのが89.2%、軽度異形成のままであったのが10.8%に対し非投与群では正常化したのが54.2%、軽度異形成のままであったのが29.14%、悪化して手術となったのが16.7%であったという事です。また、正常化するまでの期間に関しては、ヨクイニンエキス投与群で2~23か月、非投与群では8~42%であったというヨクイニンエキスに有用性があるというデータがでたという事です。このようにヨクイニンエキスは子宮頸部異形成に対して役に立つと言えるという事でした

当店でも、子宮頸部異形成のご相談では、その方に合った漢方薬に合わせてヨクイニンエキスを配合した処方を合わせて服用していただく事がほとんどです。ヨクイニンエキスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に有効なだけでなく、老人性イボや首イボなどにも効果がある方が多く、皮膚の新陳代謝を高める働きがあります。シミ、肌荒れ、そばかすにも効能がありますので、普段から美容のためにハトムギ茶を飲んだり、はと麦ポップというハトムギを炒ったものをシリアルのように召し上がるのも気軽に摂取できておススメです。もちろん子宮頸部異形成を診断されたら、ヨクイニンエキスの製剤を婦人薬の漢方薬と一緒に服用されることをお薦めします。

子宮頸部高度異形成が再発する方もありますので、円錐切除の手術ののちに予防のための漢方薬を服用されることをお薦めいたします。漢方薬はこんな時にとってもお役に立ちますから、のまない手はないと思ますよ。漢方薬は女性の強い味方ですから是非お気軽にご相談ください。

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最近の漢方使用例 不眠症 子宝+美肌 パニック障害、子宮内膜症、子宮腺筋症

60代女性 突然の不眠症

 もう何年になるだろう、多分20年来の長いお付き合いのお客様。もともと貧血症でいらっしゃったのだが、その時時で漢方薬を服用いただいて、元気にお仕事も定年までお勤めされて、今は家庭の仕事に専念されている。仕事をされていたときは、会社の健診で引っかからないよう予防しながら、色々とが提案をさせていただいていて、お嬢様やご家族のご相談もお受けしていた。最近の暑さと、お嬢様のご出産を控えて、このところ全然眠れないとご相談に来られる。身体もとってもしんどい!のでどうしたことかと。何か疲れることがあった?と聞いても特別ないと答えられる。お嬢様の出産で、初めてのお孫さんだからやっぱり心配なんでしょう❓と言うと、そんなことはない、全然気にしてない。なるようになると思っていると言われる。お嬢様がお産のために里帰りされていて、食事の支度やら出産の準備の手伝いなどで忙しくお疲れなのだなと察しましたが、本人は認めない。初めてのお孫さんでやはりお産の事も心配なのだと思い、身体と神経の疲れからくる不眠と判断して、漢方薬10日分と頓服の漢方薬Ⅰ種をお渡ししました。それから2週間ほどしてまた来店され、すっかりよく眠れるようになった。身体もとっても楽になったと言われた。10日間の服用だったが、よく効いた。お嬢様の産前産後の漢方薬をご購入いただいた。それからまた10日くらいして来店され、ここ何年か予防のために飲んでいる漢方薬を買われ、お嬢様も初産にしてはとっても楽なお産で、婦人科の先生も驚かれたとのこと、母子ともにお元気とご報告をいただいた。

本人の言われることは、たまに信じない方がいい時もある。長いお付き合いだから何となくわかることもあり、有り難いお客様です。

 

子宝のご相談から美肌

 4年前に子宝のご相談をいただき、何度か体外受精をされていたが成功されず、1種類の漢方薬で無事体外受精に成功され、双子の赤ちゃんを出産されたお客様。もう双子の子供さんも3歳になります。時々来店され、子育ての疲れからの不調や、PMSのご相談もいただいていた。しかし基本、妊娠前からずっと服用いただいていたのは「ケイギョク膏」という漢方薬。つい3日ほど前に、双子のお子さんとご主人と一緒にご来店いただいた。久しぶりのご来店で「お久しぶりですね~」と言いながら、私の口から出た言葉が、「お綺麗ですね~やっぱりケイギョク膏はいいよね~」でした。こんなことを面と向かってお客様にいう事はめったにないのですが、思わず出た言葉でした。このお客様はもうかれこれ4年以上この漢方薬をお飲みいただいている。子供の顔もみてやってください~と言われ、お車まで行くと、本当にお元気そうな男の子と女の子の双子ちゃんでした。このお客様は、妊娠前には抜け毛もてとても気になっておられた方で、今はそれも嘘のように髪とお肌が艶々です。その時店内にいたお客様もお肌綺麗だね~と感心しておられました。何よりも元気に子育てされていて、本当に良かった。

 

パニック障害 女性

 生理前の不調PMSと生理痛のご相談をいただいていた女性。気のめぐりを良くして緊張しやすい神経をリラックスしやすい漢方薬とホルモンのバランスと血流を改善する漢方薬を服用いただいていた。しばらく服用いただいて、車の運転も近くなら大丈夫、電車も県内なら行けるようになり、買い物やお友達とのお茶も楽しむことが出来るようになっていたところ、同窓会が遠方で開催されることになり、久しぶりに友達に会いたいのだが、自信がない。電車に乗るのも、長い間会っていない友達に会うのも緊張する。お母さんについて来てもらうのは嫌だから、何とか自分で行きたいとご相談に来られた。いつもの漢方薬を少し変えて、頓服の漢方薬を出かける日の朝飲んで、また電車でも途中で飲むようにお話しして、無理せず、行けるような気がしたら、参加するといいよとお話をして帰っていただいた。半月ほどしてご来店され、無事一人で行ってきたとのこと、同窓会も楽しむことが出来て、自信がついたと喜んでいただいた。

 

​子宮内膜症 40代

 以前より当店にご相談をよくいただいていた女性。生理痛があり、ノドが腫れやすく、風邪をひきやすいお客様で、胃腸があまり強くない。39歳ごろになって、生理痛さらに強くなり婦人科を受診されたところ、子宮内膜症と診断された。このころは、生理になると仕事にいけないほど痛みがキツイし生理以外の時にも痛みがある。MRI検査の結果、卵巣に3㎝大の内膜症とダグラス窩や膀胱の当たりにブルーベリースポットがある。鼠径部にも直径2㎝くらいの内膜症らしきものが見受けられるとのこと。手術はしたくないので、プロゲステロン受容体アンタゴニストの内服薬を始めることになった。しばらくは頑張って服んでいたが、元々胃があまり強くないところの体質もあり、この薬を飲むと気分が悪くなって吐きそうになりとても続けることが出来ない。先生と相談して内服薬を中止して様子を見ることになった。この後、痛みが強くなり、内膜症が進行するようであれば、手術という選択肢しかないとのこと。これは大変という事で、漢方薬で何とかならないかとご相談を受けた。漢方薬は剤型としてはやはり煎じ薬が一番効果的なので、煎じ薬を飲んで頂く事に決定して、もう一度しっかりとお身体の事についてお聞きした。この方は、元々あまり強い体質ではなく、気虚、血虚両方ある方なので、強い駆瘀血薬は使えないと判断して、血虚にも対応する駆瘀血剤にて、胃腸も大切にしながらお薬をお選びした。3か月ほどは生理痛がきつい時もあったが、4か月くらいからかなり楽になり鎮痛薬もたまにしか飲まなくてよくなった。その後2年になるが、婦人科で内膜症の進行もなく手術もすすめられていない。生理痛もかなり楽になった。ノドが腫れて高熱が出ることも無くなった。時々疲れてめまいがしたりすることがあり、その時に合わせて漢方薬をお飲みいただいている

子宮腺筋症や、子宮内膜症のご相談をいただく事が多いが、炎症を起こしやすいアレルギー体質などの人が多いような気がする。炎症を起こしやすい体質とこれらの病気は関係があるような気がしてならない。これはあくまで私の推測です。子宮内膜症や子宮腺筋症は漢方薬がお役に立てる病気なので是非症状が重篤になる前にお気軽にご相談いただきたいと思います。

 

子宮頸部異形成中等度 30代後半女性

 もともとアレルギー体質もあり、子宮内膜症もある30代後半の女性。健診で子宮頸部異形成中等度の疑いと診断され、不安な毎日を送っておられた。当店にお問い合わせをいただき、お身体の事を色々お聞きして、子宮環境を整え、免疫力を向上し、HPVウイルスの対策を考えて、煎じ薬を処方調剤し、煎じ代行にて、3か月半ほどお飲みいただいたところ、中等度から軽度異形成になったとご報告を受けました。このまま継続していただき、正常細胞を目指していただきたいと思っています。油断せず!!

 

腎虚を補う漢方薬で「尿もれしなくなったよ!」とご報告をいただきました。 70代後半女

 日頃より体調不良などがあると、ご来店いただいていた70代後半の女性のお客様。とても神経質でいらっしゃるが、体力維持のための一種類の漢方薬をもう10年来続けてくださっている。先日も久しぶりにご来店いただき、同じ漢方薬をご購入いただいた。帰り際に、「これのお陰だと思うのよ、くしゃみしても咳しても尿もれしてたのにしなくなったのよ。ありがとうね」とおっしゃっていた。漢方薬にはこんなうれしい副作用(良い副作用)があります。

 

​子宮腺筋症 40代前半女性

 1年前、子宮腺筋症による月経過多と生理痛のご相談をいただいた40代初めのお客様、2年前は貧血と激痛で2度救急車を呼ばれたとおっしゃっていました。医療機関で半年間ホルモン製剤を服用後、手術の予定でしたが、出来れば手術をせずになんとかしたいとのことでご相談いただきました。経血が多くすぐに貧血になられるため、当初は止血、補血の働きのある漢方処方をメインに、子宮腺筋症の根本治療となる、駆瘀血作用のある漢方薬を合わせ、ヘム鉄も服用していただきました。最初は、手術はしたくないというお話をされながら、手術をしなくてはいけないかなあと半分あきらめの気持ちでおられましたが、2~3か月漢方薬を続けられるうちに、手術をしないで漢方薬で体質改善を頑張ろうという気持ちになられ、1年くらいが経ちました。その間には経血が多い月もありましたが、何とか1年間救急車を呼ぶこともなく、だんだんと体調も良くなられ、子宮腺筋症の症状も改善されています。このまま閉経まで元気に過ごされることを祈っています。

 

 

 

 

女性と漢方薬

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 東洋医学では、古来から女性特有の様々な病気や症状に注意が払われ、月経、妊娠出産、更年期、閉経後などの諸症状に様々な漢方薬が用意されてきました。また、冷え性などのように病気ではないけれど不調な症状に合わせても用いる漢方薬があります。現代の女性の疾患で言うとどのようなものに、漢方薬が適しているのかというと、若い人では、「機能性月経困難症」「月経前症候群PMS」「産後の体調不良」「便秘」「ニキビ」「頭痛」「冷え性」など。また、中年になると「更年期症状」「自律神経失調症」など、また、若い人、中年の人問わず「子宮内膜症」「子宮腺筋症」や「子宮筋腫」などは婦人科の受診が必要な時もありますが、漢方薬も大いに役に立つ疾患になります。受診して、様子をみましょうと言われたり、ホルモン剤が合わない時や、基本的にホルモン剤は半年単位での継続になりますから漢方薬の併用も有効です。

また、不妊症の治療は西洋医学が進歩している分野ですが、「体外受精」や「顕微授精」は妊娠の確率を上げることに貢献している反面、妊娠しやすい体を作っていくという面では役に立ちません。子宮の血流や子宮内膜の状態を良い状態にして、元気な卵子や精子を作るお手伝いが漢方薬によっては可能です。現代では妊娠の高年齢化が進んでいるために、ほとんどの方が不妊治療では「体外受精」を受けておられますが、何度もホルモン剤を使って卵子をたくさん作ることで卵巣はどんどん疲れていきます。そんな時、漢方薬を併用すると、子宮を温め、卵巣と子宮の血流を良くして、卵巣や子宮の機能が低下するのを防いでくれます。

​昔から「血の道症」という女性の症状に対する疾患があります

「血の道症」とは産後などに、女性ホルモンの分泌過多や不足などによって、卵巣をコントロールしている脳下垂体ホルモンの分泌が影響を受け、関連するホルモン分泌が異常な状態となる症状が起こります。ホルモンバランスが崩れると、自律神経という体の機能をコントロールしている神経に失調をきたし、身体的な症状と精神的な症状の両方が現れます。

身体の症状としては

のぼせたり頭痛が頻繁に起きる、反対に、身体が妙に冷える感じがする、めまいや立ち眩みがする、急に動悸が起こる、耳鳴り、身体が疲れやすい、眠りが浅くスッキリしない、肩やその他の痛みがある。など様々な症状があります

精神的な主な症状は

不安感や憂鬱感を強く感じたり、イライラして怒りやすくなったりして気持ちが不安定になります

このような症状は産後に良く起こります。産後は1か月は寝床から起き上がってはいけない。精神的にゆったりと育児に専念することが大切で、実家に帰ってお母さんの元でゆっくり過ごせるとよいとされています。この時期に、夫の理解が足りなくて、ケンカが何度も起こるような生活をしていると、「血の道」をうまく乗り越えることが出来ずに、不調が長引いてしまいます。産後うつなどが起こるのも、この「血の道」が原因です。産後は女性にとって大切な期間ですから、周りの協力が大切です。現代では、男性も育児休暇を取ることに理解が得られていますので、実家に戻れない事情があったなら、夫の協力は不可欠です。私も若いころに「そんなに怒っていたら血の道がでるよ」などと言われたものです。イライラ、カリカリすると気の流れが悪くなり「血の道」の症状が出やすくなります。

 妊娠出産は、女性にとって生涯の内で、最も大きな行事であると言っても過言ではありません。母体の体力を想像以上に奪っています。何といっても命を懸けて命を生み出すわけですから。産後に育児をするための体力を失ってしまっていると、自分の生んだ赤ちゃんをかわいいと思うことすらできずに、産後欝に突入してしまう方もあります。産後になんだか体調が悪いなと感じて医療機関にかかっても、頭痛には鎮痛剤、眠れなければ睡眠導入剤と、検査をしても異常がなければ対症療法しかありません。

漢方の歴史においては、産後の女性の身体の事を考え、産後には煎じ薬を飲んどきなさい。とよく言われてきました。妊娠出産は、女性の身体において、特に血というものが大きく動くイベントですのでそれによって気や水も乱れが生じています。漢方薬にはこの「気・血・水」を整えるという発想と力があるため、産後の「血の道」を整える力があるのです。

妊娠出産に限らず、女性は常に「血の道」の影響を受けています

若い女性であれば生理の周期によって、怒りっぽくなったり、妙に不安になったり、悲しくなったりと情緒に影響を受ける人も多いと思います。自分はうつ病なのかと心配になったりすることもあるかと思いますが、生理の周期によって感情の変化があるかどうかを観察して規則性があるようだとそれは生理周期によるものなので、漢方薬で改善する可能性は大きいです。これも最近では「月経前症候群PMS」という病名が認知されてきましたので良いことですね。これも「血の道症」の一つです。また、女性にとっては避けて通れない更年期という時期には精神的な不安や自律神経の症状など悩みを持つ人も少なくありません。単なる自律神経失調症とは違い、女性ホルモンの減少によって起こります。症状は頭痛、肩こり、のぼせによるホットフラッシュ、動悸、めまい、不眠、イライラ、全身の倦怠感、などなど様々な症状があります。現代では西洋医学の治療により、ホルモン剤による治療、鎮痛剤、安定剤などが処方されますが、長く続けると、副作用や依存性が気になります。漢方では江戸時代からこれらの「血の道症」は漢方薬の得意分野で、体質に合わせた処方が多くあります。昔はこんな時は煎じ薬を飲んでいたものでした。漢方薬は更年期の後にやってくる老年期にも対処しながら健やかに年をかさねていくお手伝いが出来ます。

「血の道症」も含めて女性の疾患に良い処方には

四物湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、折衝飲、温経湯、加味逍遙散、半夏厚朴湯、桃核承気湯、当帰建中湯、帰脾湯、酸棗仁湯、などなどまだまだ様々な処方が存在します。

当店では、胃腸が弱く、ストレスにさらされることの多い現代人の体質に合わせて、組み合わせを考えながら、その方に合った処方をお選びしています。

漢方薬は女性の心強い味方となってくれます!是非お気軽にご相談ください。

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梅雨時の自律神経不調に漢方薬

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  今年の梅雨「梅雨寒」と呼ばれるほど、朝夕の気温が下がっています。気温の差に身体が対応できず、痛みなど不調を訴えてこられるお客様が増えて来ました。地域差はありますが本格的な梅雨はこれからの模様です。中四国地方ではそろそろというところでしょうか。本格的な梅雨に入ると湿度も気温も高くなってきます。ジメジメした湿気に加えて暑さが加わると、不快な気分が襲ってきます。この不快感は大きなストレスとなって襲ってきますね。私は一年中で一番いやな季節です。日本に生まれなければよかったと思うほど。特に低気圧が近づいてくると、具合が悪い~という方は多いのではないでしょうか?「身体が重い」「頭が重い、頭痛がする」「ふわっとするめまい、頭を動かすとグラっとくる」「下痢をしやすい」それとともに、悪心、吐き気がする、乗り物に酔ったような気持ち悪さがある。これらは漢方でいうところの「湿邪」によるものと言われています。また、この湿邪は身体だけでなく、心にも影響を及ぼし、気分が晴れ晴れしない、妙に落ち込みやすくなるなどの症状も引き起こしやすくなります。これはこの季節は、昼間の時間が最も長く、気温も高いことから「陽気」(エネルギー)を消耗しやすい時期であるという事も関係しています。今年の夏至は6月21日だそうです。代謝の高まりや睡眠不足が原因で「心」の「陽気」が消耗されやすいため、「心」の養生が大切になってきます。湿度が高いせいで、身体から余分な水分が出ていきにくく、湿を体にため込みやすくなります。この「湿」は「脾」(胃腸の機能)を低下させて、夏に向かって夏バテの素地を作ってしまいます。この季節は、湿を取り去る利水の働きのある、白朮や茯苓、めまいに良い沢瀉などの生薬が有効になります。また「脾」を補って胃腸の消化吸収力を助ける生薬である、人参、白朮、合わせて湿による痰を取り除く半夏、湿邪によるストレスに対応するための血流をよくして血も補う当帰、センキュウ、シャクヤク、治癒力を助ける生姜、大棗、甘草などの生薬をうまく組み合わせて飲んでいく事で、バランスを取っていくことが出来ます。

 このように、梅雨の時期の病気とは言えないんだけれど、凄く調子が悪いという症状に、漢方薬はとても役に立ちます。梅雨の時期の不調を予防、改善するための大切なポイントは「脾」を補うという事にななります。西洋医学では、めまいにはめまい止め、頭痛や頭重、足腰の痛みには鎮痛剤、下痢には下痢止め、胃が悪いと言えば最近では逆流性胃炎のお薬(これは胃酸を抑えるので食中毒にならないよう注意が必要です)という事になり、対症療法です。

この季節の養生としては、特に睡眠不足にならないよう、生活にメリハリをつけて、十分な睡眠と休養を取りましょう。食養生としては

① 「湿」を取り除き、水分代謝をよくする食材

  そら豆、さやいんげん、冬瓜、はと麦、、小豆、すもも、など

​② 「心の気」を補う食材

  うなぎ、あゆ、 アジ、小麦、そば など

③ 水を守る食材

  梅、さくらんぼ、など

もう少し暑くなってくくると熱を取り、水分を補充するための食材である

  きゅうり、トマト、すいか、メロン、緑豆、豆腐、など

を取り入れて身体が熱くなり過ぎないようバランスを取っていきましょう。もう暑い夏はそこまで来ています。梅雨の季節に養生をしっかりしていると、熱中症も起こしにくく、夏バテも防ぎます。朝夕過ごしやすいと思っていたら、急に気温が上がって暑さに対応できない、という事になります。暑くなり初めには身体が暑さになれていないため、対応できずに熱中症になりやすいのです。まだ暑くもないのに、生ものの多食や、スイカやメロンなどの夏の食べ物を冷やして食べていると脾胃を弱らせて、水分の代謝をうまくできなくなります。本格的に暑くなるまでは身体を冷やす食べ物は控えることをお薦めします。

この中で、「そら豆」には「脾」「胃」の働きを助ける作用があるため、蒸し暑さによる食欲不振や胃もたれを解消する効果があります。また、水分代謝を良くする働きがあるので、下痢やむくみを取る効果も期待できます。この時期しか食べられないこの「そら豆」を食事に取り入れて、梅雨時期の食養生の一つに加えてみてはいかがでしょうか。シンプルに塩ゆでで、おつまみにもよし、中華料理などに炒めてもよし、牛乳や豆乳と一緒にポタージュにしても美味しく召し上がれます。この季節の自然からの贈り物ですね。

この季節は、更年期障害やPMS(月経前症候群)をお持ちの方にとっては症状が悪化しやすい季節です。イライラ、抑うつ気分、怒りの爆発。不安感、頭痛、関節痛、手足のむくみなどは、この時期の「湿」による症状とダブルところがありますので、症状が増幅しやすいと言えます。是非、日頃より気(神経の働き)、血(血行ホルモンの働き)、水(水分代謝)の乱れを整える漢方薬の服用で、自律神経のバランスを良くしておくことがこの季節を快適に過ごすためにおススメです。お気軽にが相談ください。

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子宮筋腫や内膜症、生理痛が辛い人の食養生

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 子宮内膜症、子宮筋腫は増加していると言われていますが、その原因ははっきりとは分かっていません。アメリカの映画女優、マリリンモンロー(1926~1962)は子宮内膜症だったと言われています。マリリンモンロー生誕時には世界で数例しか報告がなかった子宮内膜症が今や全米だけで、患者数600~900万人と言われています。日本でも260万人近くと推定されています。これらの病気は、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて進行すると言われていますので、晩婚化、少子化によって女性の身体が女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなっているという事は明らかな原因だろうと言われています。例えば出産を3回すると、妊娠期間と授乳期間を合わせて約2年間生理が止まりますので3人だと6年間生理がないという事になります。6年間はエストロゲンの分泌が少なくなっているという事ですので、その影響も受けないという事になります。

 その他にも、環境ホルモンの影響や食の欧米化も指摘されています。子宮内膜症は生理痛が非常に強い傾向があり、女性の生活の質を低下させ、家庭や社会での経済的な損失を生んでいます。生殖年齢にある女性の5~10%に発生していると言われています。若いころから生理痛があり、生理とはこんなもんだろうと鎮痛剤でしのいでいる人の中には、子宮内膜症が隠れている可能性があります。「健康な女性には生理痛はない」のですから、早めに対処をしておくことで将来子宮や卵巣の摘出を免れるかもしれません。若い女性の辛い生理痛には漢方薬が本当に適しています。生理痛を甘く見ないで、是非お気軽にご相談いただきたいと思います。

今回はこの子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫に良い食事についてお話しさせていただきたいと思います。これらの病気は上述のようにエストロゲンの影響で進行する病気であることが確かです。エストロゲンは栄養素で言うと脂質に関係して、脂質から体内で作られていますから、まずはその元である動物性脂肪を減らすという事はとても大切です。また、食物繊維を多くとると、腸間で脂質の吸収を防ぎ便として排泄しやすくなるという事がわかっていますので、水溶性、不溶性合わせて多くの食物繊維を含んだ食品を取ることは予防に有効な手段になります。最近若い方の間でブームとなっているオーツ麦は、食物繊維が豊富でなおかつ小麦のようにグルテンを含んでいないことから、腸管での炎症を誘起せず、含まれているβグルカンという食物繊維がLDLコレステロールの低下を助けるというデータもありますので、取り入れてみるのもよいかもしれません。LDLコレステロールは女性ホルモンに限らず体の中でホルモンの原料となる物質ですから一石二鳥と言えます。グルテンを含まないためパンには向いていないので、シリアルなどの製品が販売されています。

 また、食事でいえばやはり、動物性脂肪を含む肉類や乳製品(ヨーグルトやチーズも)を控えることは大変効果的です。肉類の代わりにオメガ3脂肪酸を多く含むマグロのトロや、サンマ、いわし、サバなどを食べる習慣もよいです。イクラやキャビアなどにも多いそうです。魚介類の脂がよくのっているものにはたいていオメガ3脂肪酸が含まれているという事です。私はお客様に、イワシ、サンマ、サバの缶詰をお薦めしています。若い女性はサバやいわしなどの青魚を料理するのは苦手な方が多いですので、これらの缶詰だと気軽に取り入れることが出来ます。市販品の缶詰で100gあたり2000mgのオメガ3脂肪酸が取れるという事ですので、厚生労働省の摂取目標の2倍取れます。また、当店でおススメしているグリーンナッツオイルは植物性のオメガ3脂肪酸を含んでいて、加熱しても壊れにくいので人気です。味噌汁にティースプーン1杯入れたり、コーヒーに入れたりサラダに振りかけたりと、毎日のお食事に取り入れていただいています。

生理の時の痛みは子宮が収縮するように指令を出す、プロスタグランジンという物質が起こしており、痛みの原因となっています。この物質は油で出来ていて、痛みの素となるのはオメガ6系のサラダオイル、バター、肉の油、牛乳や生クリームなどです。これらは筋肉収縮作用のある、「F2αプロスタグランジン」の原料となるという脂肪が多く含まれています。F2αプロスタグランジンは子宮を収縮させ、月経痛などの子宮内膜症による症状を悪化させます。それに対して上記のオメガ3系脂肪酸は痛み物質と反対に生理痛を軽くすると言われています。プロスタグランジンによって引き起こされる痛みを悪化させる原因に、炎症があります。オメガ3系脂肪酸のひとつであるDHAには体の炎症を抑えるというデータもあります。マウスの実験ですが、これらのオメガ3系脂肪酸によって、子宮内膜症の症状を抑制できたという報告もあるようです。子宮内膜症、子宮腺筋症は症状を起こしている場所で炎症が起きている炎症性疾患と言われていますので、炎症を抑える働きのあるオメガ3系脂肪酸は食事に取り入れる価値があると思います。またこれらは血液をサラサラにする働きもありますので、血液の状態をよくするという事は子宮に溜まった血液を良い状態に導く事が考えられるため生理痛の緩和にも役に立ちそうです。

 その他に特に取り入れていただきたいのが、子宮筋腫の食事のところでも述べました、大豆製品です。大豆には「バイオフラボノイド」という植物性エストロゲンと呼ばれる物質が含まれています。これは体内で生成されるエストロゲンよりも作用が弱く、食事の一部として体内に摂取すると、エストロゲンの代わりにエストロゲン受容体に結合します。その結果、体内で作られたエストロゲンの働きが弱まり、子宮内膜症や腺筋症の改善や、予防ができる可能性があると言われています。

 以上のように、子宮内膜症、腺筋症、子宮筋腫の食養生には、バランスの良い食事はもちろん、食事に大豆製品を毎日取り入れたり、お肉類や乳製品を控えて、青魚をはじめとする魚介類をなるべく取り入れて、食物繊維の多い穀物や野菜を意識的に毎日食べることが効果的であると言えます。病気を治すために、養生はお薬よりも大切と言われています。特に食養生は重要です。ジャンクフードばかり食べていては、いくら漢方薬を飲んでもなかなか効果が出てきません。身体は日々食べたもので毎日作り変えられています。食養生、さらには運動や十分な睡眠などの養生も心がけ、その上で漢方薬を服用していただければ、体質改善をしながら病気の改善もさらに効果的と思います。食養生や漢方薬を毎日続けることで、病を自分の力で治す努力をしてみませんか? 是非お気軽にご相談ください。

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子宮頸がん予防ワクチンが話題です。HPV(ヒトパピローマウイルス)はイボのウイルスの仲間

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 昨年の11月26日、子宮頸がんワクチンの積極的な接種勧奨が再開されました。該当する方には令和4年4月より順次お知らせが発送されるようです。このワクチンを推奨している先進国に比べて、日本ではこの子宮頸がんで亡くなる方が増加しているのだそうです。現在は若い人に発症する率が高くなっているようです。

子宮頸がんとは

 子宮頸がんの多くは多くはヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染で発症し、そのきっかけとなるのが性交渉です。性交渉によってこのヒトパピローマウイルスが感染することにより、子宮頸がんの発症の原因になっていると言われています。性交渉を一度でもしたことのある女性では80%近くの人がこのHPVに感染していると言われています。このHPV、感染したからと言って必ずがんになるというわけではなく、長い時間をかけて一部の人だけが最終的にがんになるというわけです。感染した80%の中のさらに10%の人が持続感染に移行します。言い換えれば90%の人は持続感染しません。持続感染の状態から変化しなければ正常細胞(NULM)です。そしてそのまた10%の人が軽度病変と呼ばれる状態に移行します。軽度病変(LSIL)という状態は、自然免疫(自分の免疫力)によって正常に戻る可能性も高いと言われています。その後,正常細胞に戻らなかったら中等度異形成と呼ばれる状態になります。そのあとの高度の疑い、高度病変(HSIL)と変化していくと自然治癒率はだんだんと低下していき、上皮内がんへと変化しやすくなります。軽度病変や中等度異形成の状態ではウイルス感染で子宮頸部に扁平なイボが出来ている状態と言えます。まだがん細胞であるとは言えない状態です。診断されると経過観察だけで特別な治療法はないようです。自分の免疫力で回復し正常に戻り次の健診では異常なしになる人もたくさんおられます。高度病変の状態ならば切除するかどうか医師と相談という事になると思います。HPVに感染しているかどうかを調べる検査があるようですが、実際のところは、HPVヒトパピローマウイルスに感染している人はたくさんいます。感染が自然消失することも多く、感染しているかどうかを調べて、陽性だとしても何か手立てがあるかと言えばそういうものはないのです。

 高度病変から上皮内がんに変化するとがん0期という事になります。完治する率はほぼ100%と言われています。さらに進んで浸潤した状態であってもⅠ期であれば生存率は90%以上。状況によっては子宮を残す手術も可能という事です。さらに進行してしまうと、子宮を残すことは困難なこともあり、さらに膀胱や直腸などに広がった場合には完治が困難で、生命にもかかわることもあります。どんながんでも同じですが、早期発見、早期治療が重要です。

子宮頸がんの原因、ヒトパピローマウイルス(HPV)

 この女性の敵、子宮頸がんの原因と言われているヒトパピローマウイルス(HPV)、実は小さいころに手や足にできたあのイボのウイルスの仲間です。わりとその辺にいるウイルスなのです。その種類はわかっているだけで100種類以上になると言われています。感染部位によりいろいろな症状を起こします。皮膚にこのHPVが感染すると皆さんご存じのイボになります。水いぼもこのHPVの仲間が原因で起こります。そして性器に良性の種類のHPVが感染すると尖圭コンジローマになります。そして子宮頸部に悪性のHPVが感染すると子宮頸がんの原因となる病変を作り、持続感染から変異をしていくとガン化していきます。100種類の内30~40種類が性器に感染し、さらにその中の15種類がガン化するハイリスクタイプです。今接種が行われようそしているワクチンではこのうちの2種類のウイルスに対するもので、期待される効果は大体7割と言われています。日本人に多いのは16型と18型と言われています。

HPVヒトパピローマウイルスに効果のあるヨクイニン

 子宮がん検診で、軽度病変やその疑いと言われると、様子をみましょうという事になりますが、何も手立てがなくては不安になりますよね。自分の免疫力を高めて自然治癒を目指すのが大切ですから、食生活に気を付けたり、睡眠不足にならに様にすごし健康管理をしていく事が重要です。それに加えて、少し積極的な対策を取ろうと思ったら、ヨクイニンを取り入れてみることは有効と思います。ヨクイニンは元々イボの治療に飲まれています。その水性エキスにはHPVに対する撃退効果があることはよく知られています。体内の免疫細胞を刺激する働きによると言われています。そしてヨクイニン自体の粉末には皮膚の新陳代謝を高めて早く古い角質を落としてしまう働きがあります。つまり美肌の効果があります。シミやブツブツなどの細胞をしたから押し上げて早く代謝させる働きがあります。この二つの相乗効果によってイボに対する効果があるのだと思います。HPV感染者の誰にでも効果があるとは言えませんが、選択肢の一つとしてのヨクイニンはニキビ、シミ、などにもよく美肌効果は抜群ですから、漢方処方と合わせて服用することでいいことずくめと言えます。

実際には「桂枝茯苓丸加ヨクイニン」という漢方薬を使って、HPV型別に子宮頸部細胞診と合わせて有用性の検証が行われたデータがあり、悪性度の高い16型にも軽度病変からの陰性化を認めたという結果があります

桂枝茯苓丸だけではなくその方に合った漢方薬をヨクイニンと合わせて服用いただく事は、軽度異形成(軽度病変)には有効ではないかと思います。体調が良くなって、肌にも良い効果があり、がんの予防が出来て一石三長の効果と言えます。もちろん、高度異形成や扁平上皮癌まで進行していることがわかれば、手術などの対策を取っていく事が大切になります。それでも治癒率はかなり高いですから本当に検診を受ける事による早期発見は大切です。

また、当店では高度異形成や扁平上皮癌などに進行した場合でも西洋医学の治療と合わせて、免疫力を高める生薬チャーガや慢性炎症に良い重楼、漢方薬とヨクイニンの服用も併用していく事をお薦めしています。

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更年期障害に良い漢方薬

 前回の更年期についてのブログでは「当帰」「阿膠」など更年期に重要な生薬についてお話しさせていただきました。今回はそのほかの生薬や、漢方処方についてお話しさせて頂きたいと思います。

まずは「プラセンタ」について、プラセンタと聞くと、漢方薬を連想する方は少ないと思いますが、このプラセンタは哺乳動物の胎盤を乾燥して得られたエキスで、漢方の世界では、古くは700年代から中国で使われており、明の時代には「紫河車」という名前で、治療に用いられてきた記録が残っています。

中国では秦の始皇帝が不老不死の妙薬の一つに用いたと言われています。唐の時代には「本草捨遺」(ほんぞうしゅうい)という書物の中で紹介されていて、明の時代には「本草綱目」という書物に「紫河車」の名で登場し、肉体的、精神的な疲れに効果があるとして、滋養強壮的な漢方薬として重用されていたようです。楊貴妃もこの「紫河車」を服用していたと伝えられています。現代でも漢方の世界で欠かせないものです。西洋でも、古代ギリシャの医師で西洋医学の父と呼ばれるヒポクラテスが治療に使用していたと言われています。エジプトの女王クレオパトラやフランスのマリーアントワネットが若返り、美容の目的で利用していたことは、色々なところで伝えられ、有名です。

そもそも「プラセンタ」(紫河車)とは、哺乳動物の胎盤です。「胎盤」は胎児をお腹の中で育てるための栄養が蓄えられており、胎児の生命を維持し、成長させる大切な働きをしています。現在では医療機関でもプラセンタ注射としてヒト胎盤の製剤が使われています。また内服では豚胎盤から抽出したエキスが市販されています。

プラセンタ注射の効能としては、更年期障害と肝機能疾患となっていますが、様々な効果が実証されています。ただし、プラセンタ注射はヒトの胎盤から作られていて、1度でも注射を受けると献血をしてはいけないとされています。一般に市販されているプラセンタはほとんど豚の胎盤から作られており、内服ですので安心してお飲みいただけます。

プラセンタ注射の有効な疾患や症状としては、更年期障害、肝機能障害はもちろんの事、頭痛、口内炎、気管支炎、喘息、胃弱、肩こり、筋肉痛、関節痛、神経痛、外傷、手術後の創傷治癒、下肢静脈瘤、乳汁分泌不全、生理痛、生理不順、冷え性、皮膚炎、しみ、乾燥肌、自律神経失調症、うつ、不眠、不安症、パニック障害、前立腺肥大、めまい、鼻炎、などなど様々な効果を期待されています。

注射程の効果は期待できないにしても、安心して飲むことが出来る、内服のプラセンタにも似たような効果が期待できます。

西洋医学では1つの物に、このように多様な効果があるという事は考えにくいですが、このプラセンタを漢方薬の「紫河車」として昔の人がどのような人に使っていたかを考えるとまず

①男女問わずの虚労(疲れ切っている状態)

②婦人骨蒸労損(出産のより体力を消耗しきってしまった状態や、結核、肺病、更年期症害など)

③五労七情による吐血や羸痩(肉体的や精神的ストレスにより、血を吐いたり、痩せてくるほどの衰弱)

というように、ひどく疲れ切ったり、衰弱した状態の時に服用し、回復を助けたのだという事がわかってきます。ですから多くの効能があるというよりは、弱っている状態から回復するのを助ける働きをするのだという事がわかります。現代的な言葉に置き換えると、弱った組織を修復したり、不足した成分を身体が作れるよう力づけたり、自然治癒力を高める働きが期待され、

〇内分泌調整作用

〇基礎代謝向上作用

〇自律神経を整える

〇免疫を刺激する

〇肝臓の働きをたすけ解毒作用を強化

このような働きが考えられ、又実証されています。更年期障害に

最適なプラセンタ(紫河車)であると言えると思います。

このプラセンタ(紫河車)は上述のように内分泌調整作用を持っていますので、更年期障害の原因であるエストロゲンの低下によるホルモンバランスを少しでも助ける働きが期待できます。また、エストロゲンの低下による自律神経の不調にも対応して、衰えていく体力を少しでも助けていく事が出来ることから、更年期障害には最適な生薬であると言えます。さらに、当店の商品である、「王妃アキョウ」には東亜県産の純度の高い「阿膠」を配合しており、更年期の不正出血や、骨粗しょう症、関節痛、肌の衰え、目や肌の乾燥、シミなど老化の始まりである更年期による障害にお役に立つ商品となっています。更年期に限らず産後や子宝、美容にとすべての女性に、お役に立てていただきたい商品です

実際、当店のお客様では、更年期でなんだか気分も鬱々としていたのだけど、この「王妃アキョウ」を飲んで2か月くらいたつ頃から、身体も元気になり、気分も晴れやかになった。3~4か月飲んだ頃から足腰の痛みが楽になって、出かけるのが楽しくなり、更年期の症状は多少あるけれど、元気になった気がするなど嬉しい感想をいただいています。

​次に、更年期障害によい漢方処方についてお話ししたいと思います。

更年期障害には「加味逍遙散」とよくいよく言いますが・・・・・

もともとこの「加味逍遙散」という処方は、加(加える)味(薬味)という文字がついており、元々の「逍遥散」という処方にさらに薬味を足した処方でありそれが、牡丹皮と山梔子という生薬になります。まずは元々の「逍遥散」という処方についてお話ししたいと思います。この処方は和剤局方という書物の婦人病のところに出てくる処方です。この処方は血虚の人に使う処方であり、血虚とは血液も少ないしホルモンも少ない、しかも血液の流れ、血行とホルモン分泌が不良であることを言います。この血虚の人が無理をして仕事をすると、まず心臓に疲れが出てきてそれにより血管に影響が現れ、手のひら、或いは足の裏にポーっと熱っぽい感じが出てきます。これを漢方では血熱と言います。もちろん心臓が疲れて胸苦しい感じがしてきます。そしてこのような血熱の症状から、口が渇きやすいという症状の出る人もあります。そして、疲れが重なると体力の低下から、胃腸の調子もよくない、又血液に関係のある、月経も整わなくなってきて、下腹も張ってくる、時には午後になってポーっと熱っぽくなってくるなどの症状が出てきます。つまり血虚、ホルモン不足による症状がこのような症状になり、この「逍遥散」が適していると言えます。この「逍遥散」という処方には、血液に効果のある「当帰、芍薬」で血行、神経の鎮静の働きをし、「柴胡」でもって、肝臓からくる疲れストレス、鬱血に効果があり、午後からだるくなって熱っぽくなるという症状を解消してくれます。そして「薄荷」により気持ちをスッキリとさせてくれます。さらに、「茯苓、白朮、甘草、生姜」というグループが胃の調子を整えてくれ自律神経の調整にも役立つという働きを持ちます

そしてこの「逍遥散」に牡丹皮、山梔子を加えたのが加味逍遙散なのですが、この2つの生薬は特に散剤で使う場合は煎じるのではなく、生薬を末にしたものを加えますので大変胃に障ってきます。ですから私はこの「加味逍遙散」という処方は、ほとんど使わず、「逍遥散」という処方を、四物湯加減という処方に合わせてお飲みいただく事が多いです。

「逍遥散」の他にも当店では

四物湯加減+α(逍遥散、四君子湯、六君子湯、平胃散)温経湯、当帰建中湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸料、折衝飲、ケイギョク膏、などなど様々な処方の中から、お客様に最適な処方をお選びするよう心がけています。

更年期障害は40代後半から50代前半にかけて個人差はありますが、ほとんどの方が経験する症状です。更年期だから仕方がないとあきらめないで、少しでもこの期間を快適に過ごせるよう、漢方薬の力を信じて試してみてください。更年期は老年期の始まりです。このころからコレステロールや中性脂肪の上昇、骨粗しょう症の始まり、関節軟骨の減少や筋肉の低下による足腰の弱りなど様々な症状を表してきます。漢方薬にはこの老化の進行を緩やかにし、健康な老年期に向かっての準備をするのを助ける力があります。5年10年と経つうちに、飲んでいる人と飲んでいない人との間には差がついてくると思います。もちろん日々のバランスよい食事や、運動による差は大きいです。歳をとるのは仕方がないけれど、健康で楽しい老年期のために、是非漢方薬をお役立てください。

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子宮筋腫と漢方薬

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 当店では、子宮筋腫のご相談が年々増加の傾向にあります。30代以上の女性の4人に1人は持っていると言われるこの病気、出産年齢が高齢になっている現在、増加の傾向にあると思われます。子宮筋腫はできる場所によって症状が違ってますきます。漿膜下筋腫の場合はあまり症状もなく、妊娠にもあまり影響がありませんが10㎝以上になってくると、周りの臓器を圧迫する可能性があります。粘膜下筋腫は場所や大きさによって受精卵の着床を妨げ不妊症の原因になったり、不正出血や月経過多になることがあります。頸部筋腫は子宮の膣側にできる筋腫で大きくなるとやはり過多月経になり、貧血状態になりやすいです。最後に筋層内筋腫、こちらが一番多く、子宮壁を構成する筋肉層内にできる筋腫です。小さいものではほとんど症状がでないが、大きくなると経血が増えたり、不妊の原因になります。子宮筋腫はエストロゲンの影響を受けて大きくなると言われていますので、閉経後は小さくなると言われています。

このように症状が出ないことも多いこの子宮筋腫ですが、最近では出産年齢が高くなっている影響で、妊活を始めてみると子宮筋腫が大きくなっていて、場所が妊娠に影響を及ぼすために、悩まれてご相談をいただくことが多くなっています。また、40代を過ぎて、子宮筋腫が大きくなり、月経過多による貧血や激しい生理痛でご相談いただく方も多くあります。子宮筋腫があるとわかったら、症状がなくても漢方薬を服用されると、大きくならないように体質改善できますし、小さくなる可能性がありますのでお勧めしたいところです。

今回は、子宮筋腫の体質改善に良い漢方薬についてお話しさせていただきたいと思います。

「桂枝茯苓丸」だけじゃない子宮筋腫のための漢方薬!

 子宮筋腫と言えば漢方薬で有名な処方が「桂枝茯苓丸」という処方です。こちらは生薬の末を丸薬に固めて作る処方ですが、「桂枝茯苓丸料」と言って、この配合の生薬を煎じて飲むこともできます。煎じた方が吸収が早く、少し胃腸に優しいと言われています。この桂枝茯苓丸料という処方はどういう働きをする漢方薬かと言いますと、まずこの処方は体力のある人に使うお薬です。子宮筋腫のある人は子宮の周りが鬱血(瘀血)の状態にあります。体力のある人であれば、その鬱血を取っていくと新しい血がめぐるようになり、働かなくなって淀んでいた血が十分働くようになるという感じの処方です。特にこの処方に配合されている「牡丹皮」という生薬は、体力があり、充血性でのぼせのあるような体質の人のお薬になります。ある程度体力がある人ならば、この生薬で鬱血を取ることが可能です。しかし、体力がなくて、貧血状態になっている人だと、鬱血を取るだけでは、血の働きが回復しません。まずは、血虚の状態である貧血を改善しなければ瘀血の状態を改善することはできないのです。そんな時に、使えるのが「当帰」という生薬です。当帰は比較的体力のない血虚状態の人にも使える駆瘀血薬であると言えます。造血の働きを助けながら、鬱血(瘀血)の状態を改善するという時に使える生薬になります。当店では、子宮筋腫のご相談で、しっかり時間をかけて、その方の体質を見極めてお薬をお選びするようにしています。ある程度体力のある方にはもちろんこの「桂枝茯苓丸料」をお選びし、当店独自の処方である、筋腫を柔らかくする働きのある生薬を足して飲んでいただく事もあります

当店では、この「桂枝茯苓丸料」以外にも、当帰建中湯に四君子湯や六君子湯を合わせて子宮の周りを温めながら、胃腸の働きを整え、水滞と瘀血を改善するという方法をとることもありますし、当帰建中湯に当帰芍薬散を合わせた処方を使うこともあります。さらに四物湯の変方に桂枝茯苓丸料や当帰芍薬散料を補助的に使ったり、やはり六君子湯などを合わせて飲んでいただいたりと、本当にその方によって千差万別の処方となります。

大切なことはその方の”陰陽虚実”をしっかりと見極めて、胃腸の働きも大切に考えて漢方薬をお選びすることだと思っています。

当店で子宮筋腫の漢方薬をお選びした方の多くは便秘が改善したり月経周期が整ったり生理痛やPMSの症状が軽くなったり、胃腸の調子が良くなったりと、身体全体の体質改善につながることも多いです。

WTTCという漢方処方

​漢方の世界ではとても有名な処方である W T T Cという処方、厳密にいえば漢方薬ではなく民間薬、家伝薬の一種で元々は胃腸に良いとして作られ販売されていた。昭和30年ごろにあの「白い巨塔」のモデルとなった外科医、中山恒明教授が胃がんの患者に使ったことから有名になりました。この処方の名は構成薬物のラテン名の頭文字を取って名づけられています。

構成生薬は 藤(Wisteria floribunda) カシ・ミクロバラン(Terminalia chebula)菱実(Trapa bispinosa)ヨクイニン(Coix lachima-jobi)です。

山崎豊子原作の「白い巨塔」のモデルとして有名な外科医山中恒明教授が胃がんの患者に使用して、延命効果があったとして有名になった処方です。漢方の世界ではよく知られた処方で、私も頑固で大きなイボで困っている人や、消化器やノドのポリープにお飲みいただいて、良い結果が出ていることを参考に、子宮筋腫も良性の腫瘍と考え、上記の女性の血流をよくする処方と合わせてお飲みいただく事で良い結果を得ています。(効果を保証するものではありません)

この処方を民間薬としてお作りする事が出来ます。藤瘤がなかなか手に入らないので、チャーガや梅寄生などを代わりに使い4種類の生薬とお茶をして煎じ代行させていただくことが出来ます。国内では2社のみがエキス製品を製造していて、そちらは医薬品の分類になりますが、気軽にお飲みいただく事が出来ます。

 

​30代女性 病院で子宮筋腫があると診断され手術を勧められる

 以前も1.9㎝の子宮筋腫を指摘されていたが、放っておいたところ3年後に2つの筋腫があり合わせて8㎝と言われ、手術を勧められる。まだ結婚もしておらず、将来妊娠を希望しているので、手術はされたくないとのことで、ご相談を受ける。筋腫のみを取り出す手術を受けると、その後1年は妊娠できないこと、そして必ず帝王切開の出産になるという事と、今、手術を受けても結婚して、妊娠を希望するころにはまた筋腫が出来ている可能性もあることから、是非、漢方で子宮筋腫の体質改善をされることをお薦めしました。それほど強い体質でないこと、などを考慮して漢方薬2種類をお選びし、半年間きちんと服用を継続いただいたところ、婦人科の診察で、2つ合わせて8㎝あった筋腫が1つになっており、大きさも4㎝に縮小していた。先生の方は何故かわからないと言われていたとのこと。このまま漢方を続けられることになった。肩こりや生理痛も改善され、体調もいいので喜んでいただいている。

西洋医学では、生理がある状態の年齢では、子宮筋腫が小さくなることはないと言われるようだが、漢方薬の気長な服用によって、子宮筋腫が小さくなったお客様には何度も遭遇しています。更年期間近になって、10㎝以上の子宮筋腫でも、漢方薬の服用で大きくならずに更年期を迎えられる方もあります。

子宮筋腫でお悩みの方は是非漢方薬での体質改善もお考えいただければと思います。

 

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子宮内膜症、子宮腺筋症の漢方薬

 最近当店では子宮内膜症や子宮腺筋症のご相談が増えています。子宮内膜症については以前のブログでも何度かお話しさせていただきました。

子宮内膜症という病気は本来、受精卵を着床させるために子宮の中にできるベッドのようなもの(子宮内膜組織)が、本来はできるはずのない場所に増殖してしまう病気です。主に卵巣、腹膜、ダグラス窩など骨盤内にできることが多いですが、中には鼠経リンパ部、腸、膀胱、肺などにもできることがあります。この子宮内膜組織が子宮の筋肉層の中にできてしまう病気が子宮腺筋症です。

症状

これらの病気の症状としては、月経に伴う痛みが激しいことがあげられます。そして本来ないところでそのようなことが起こるわけですから、その周りには炎症や癒着が起こって、月経時以外にも下腹部痛や慢性的な骨盤の痛みが起きることがあります。これらの癒着などにより、卵管の働きが悪くなったり炎症により受精や着床に影響を与えて不妊の原因になることもあります。また、卵巣で起きた場合には卵巣の中で行き場のない血液が溜まって、ドロドロとしたチョコレート状に変化し卵巣が大きく膨らんできます。これをチョコレート嚢胞と呼び、中には症状がなく、いつの間にか大きくなってしまう人もあります。この病気は生理のたびに進行していく事が特徴です。若いうちは、生理痛がきつくても、鎮痛剤で何とかしのいでやり過ごせるので病気と気づかずに、生理とは痛みがあるもので異常だとは思っていない人も多くあります。年を取っていくに従い症状が重くなっていき、特に子宮腺筋症になると、年齢が進むに伴い、のたうち回るほどの痛みで、鎮痛剤を飲んでも仕事には行けないという方も多いです。40歳過ぎてから急に生理痛が激しくなり、婦人科に行ってみたら子宮腺筋症と診断を受けたという方もかなりあり、更年期近くになると病状がかなり進んでいるため、激しい生理痛に加えて、経血の量が異常に多くなってくることが多いです。昼間も夜用のナプキンをしているのに1時間おきに変えないと漏れるほど、夜はタンポンにさらにナプキンを当てないと漏れてしまうという方もかなりあります。こうなってくると、かなり強度の貧血も伴ってきます。貧血になると余計と経血もとどめる力がなくなり、さらに悪循環になってしまいます。このような状態になると医療機関では手術を勧められることも多いようです。

このように若い時の症状と、病状が進んだ更年期近くの症状はかなり違ってきます。生理痛があるということはこのような病気が潜んでいるかもしれないという事ですから、お若い時に漢方薬を服用して生理痛が起こらない状態に体質改善されると、これらの病気を防ぐことが出来ます。

原因

子宮内膜症や子宮腺筋症の原因ははっきりとは分かっていませんが、生理のある女性に起こる病気なので女性ホルモンが関係している事は確かですが、環境ホルモンが関わっているのではないかとも言われています。また、増加している原因としては、少子化や晩婚化により生理の回数が増えていることがあげられます。妊娠、授乳期間には約2年間生理が起きないのですから。

子宮内膜症と子宮腺筋症の漢方

まずはこの二つの病気は明らかに「瘀血」の証であると考えていくのが妥当だと思います。それに加えて、元々の体質を考慮しながら処方を決定していきます。瘀血に使う生薬には、牡丹皮、桃仁、当帰、紅花などがありますが、それらを含む代表的な処方には

  桃核承気湯、桂枝茯苓丸(料)、折衝飲、当帰芍薬散、当帰建中湯

などがあります。左ほど実証(体力が比較的ある人)向きの処方になります。当帰を含む当帰建中湯や折衝飲、当帰芍薬散は体を温めて血を補い痛みを和らげる働きがあります。同じ瘀血の証でも、胃腸が弱かったり、ストレスがあったり、冷えが強かったり、一人ひとり体質が違いますので、その方に合った漢方薬をお選びできるよう努力しています。この中で当店で最も汎用処方である「折衝飲」についてお話しさせていただきたいと思います。

「折衝飲」

この折衝飲という薬は、どうゆう意味があるのかと言いますと、衝を折るという字を書きますが、これはおそらく異常な苦痛、激しい痛みを取るという意味と思われます。ですから、この折衝飲という処方は、瘀血が原因で起こる腹部の痛みを抑える働きがあると思います。この処方の生薬構成を見ていくと、まず、桂枝、当帰、センキュウ、牡丹皮、桃仁という血行を良くする働きを持つグループと、延胡索、牛膝、紅花、芍薬という血行不良からくる痛みを楽にしてくれる生薬から成り立っていることがわかります。駆瘀血剤のグループには、牡丹皮という比較的体力のある人に使うものと、当帰という比較的貧血気味で体力のない人に使う生薬が両方使われていますので、幅広い人に飲んでいただくことが出来ます。もともと体力が中程度である人が、出血が多かったり、産後などで体力を落としてしまっている時にも使える処方だという事です。瘀血の状態があるのだけれど、体力が衰えて貧血のような状態になり、自律神経の働きが乱れて痛みを起こしているという時、に使える処方構成になっています。桃仁やセンキュウはほぼ中間の人に使うことが出来ます。その他、それぞれの働きには特徴がありますが、ここでは省かせていただきます。そして、この折衝飲の処方の適応には腹痛があります。この痛みに対処するために、延胡索を主として、牛膝、芍薬、紅花という血行不良からくる痛みを和らげる働きのある生薬が配合されているのです。延胡索という生薬は含まれているアルカロイドが痛みを止める働きがあって、良い仕事をしてくれます。それに加えて牛膝で瘀血を散らして痛みを楽にして、芍薬は血行不良からくる腹痛を止め、また、紅花には当帰と協力して造血の手助けもしてくれますし、鬱血を散らして痛みを止める力があります。文献には瘀血に対応している処方ですから瘀血による炎症に良いとあり、例えば子宮内膜症や腺筋症には炎症が起きていますので、その炎症、痛みの強いものに使うとあります。このように、絶妙な、組み合わせで、瘀血と炎症、痛み、ホルモンバランスの改善に働いてくれる処方が、この折衝飲なのです。この折衝飲を飲んでいただくような子宮内膜症や腺筋症の方は、痛みが強くて困っている人が多いですので、当店では効き目の良い煎じ薬を煎じ代行させていただいています。生薬エキスを乾燥させて散剤や錠剤にしたものに比べて効果は上回っています。味は美味しいとは言えませんが、当店では95%以上の人が、問題なく飲んでいただいています。

次に「芎帰膠艾湯」という処方についてお話ししたいと思います。

この処方はセンキュウ、当帰、阿膠、艾葉という4つの生薬を主剤として、さらに芍薬、甘草、地黄という生薬で構成されています。主剤となっている4つの生薬の働きから考えて、この処方は下血して止まらないような病状を呈している時に使われる処方という事になります。子宮の異常出血を起こして、なかなか止まらず、貧血になっている時に使うと良い処方であるという事が古い文献に書いてあります。妊娠中の異常出血にもよいとありますので、弱い人に使う処方という事がわかります。この中の艾葉(ヨモギ)はうっ血が原因となって起こっている出血の止血に使う、体力が衰えている時の鬱血の出血に止血の目的として使う生薬で、炎症が強いときには使わない方が良いとあります。そして、阿膠は体内が衰えて血行の働きが弱くなっているために出血を起こしている時に、まずは阿膠で体力をつけて、血行を良くし、それにより出血を防ぐ働きがあります。この二つの生薬は炎症があって充血性である程度元気な人の出血ではなく、出血が長く続いて体力低下を起こし、まずは止血をして、貧血を改善しようという人に使う生薬であるという事です。当帰という生薬も、この処方では、止血の働きを目的に配合されています。子宮の異常収縮を防いで止血を助ける働きが当帰にはあります。さらに、腹痛に働く芍薬や痛みに対する甘草、血行や陰虚に良い地黄を加えることにより止血のみでなく、痛みにも対応している処方であることがわかります。しかし、この処方は、血虚でありホルモンの働きが悪く血液の少ない人に使う処方であるという事、充血体質の人には使わない方が良い処方であることを忘れないようにしなくてはいけません。

これらの2つの処方を中心として、気血水の働きを考えながらその方に合った処方を考えています。

特に30代から40代前半の子宮内膜症、子宮腺筋症の方には上記のような折衝飲やそのほかの処方を中心に、瘀血や炎症を取り除き、まずはきつい生理痛が改善することを第一に考えてお選びします。また元々の体質がそれぞれおありですので、特に胃腸の調子や水分代謝などを考慮して処方を決定しています。そして40代後半から50歳前後の更年期時期の方の子宮腺筋症や、子宮内膜症は出血が激しい方も多く、ホルモンの力が落ちてきたり、貧血が進んでいる方には、まずは芎帰膠艾湯のような処方で、補血、止血を中心にお選びするようにしています。症状の変化とともに、駆瘀血薬も加えながら処方を変更していくという方法をとることが多いです。貧血が改善して体力が元に戻れば、瘀血を改善することは必須になってくると思います。

以上、子宮腺筋症と子宮内膜症に対する処方の例をお話しさせていただきましたが、選薬は簡単ではなく、体質も千差万別ですから、お客様に最適な処方をお選びできるよう努力してまいりたいと思います。   処方や生薬の解説につきましては、高橋良忠先生、高橋邦夫先生の近代漢方薬ハンドブックと実践漢方薬ハンドブックを参照させていただきました。

子宮腺筋症、子宮内膜症という女性の疾患は、漢方薬が効果的な病気です。対症療法だけではなく、体質改善もできる漢方薬をどうかお役立ていただきたいと思います。生理痛が普通ではない、鎮痛剤が手放せないという方は是非早めに対策を考えられることをお薦めします。

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