2022年08月18日

子宮頸がんの前段階、子宮頸部異形成で漢方がお役に立てること

2022818172257.jpg子宮頸がんとは、子宮下部の管状の部分に出来るがんの事を言います。以前は40~50代が発症のピークと言われていましたが、最近では30歳代後半がピークと言われています。国内では毎年1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しています。近年患者数も死亡者数も増加してiいますいると言われています。

子宮頸がんの原因

子宮頸がんの原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることは皆様もご存じだと思います。このヒトパピローマウイルスはありふれたウイルスで性交経験のある女性のほとんどが感染していると言われています。しかし、HPVに感染しても、90%の人は自分の免疫の力でウイルスが完全に排除されます。しかし残り10%の人で、HPV感染が長期間感染持続をしその中で、自然治癒しない一部の人は子宮頸部異形成と呼ばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。このヒトパピローマウイルス(HPV)はイボを形成するウイルスでもあります。日本語ではヒト乳頭腫ウイルスと言い、感染すると乳頭のような盛り上がった腫瘍(イボ)を形成することからこの名前がついています。その型によっては悪性化するものがあることが分かっています。悪性腫瘍と関係のあるHPVはハイリスクHPVと呼ばれ、代表的なHPV16,と18型さらにはHPV31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、が関係していると言われています。たとえハイリスクHPVに感染したとしてもやはり90%は自分の力で排除しています。その後10%の人が長期感染持続をして、その後に子宮頸部に異形成(正常細胞ではないもの)が見られたとしてもまた、数年~数十年をかけて子宮がんに進展するというわけです。子宮頸がんになる道のりは長いですね。その他の臓器に出来るがんでも、1つの細胞がガン化してⅠ期の初期がんになるまで20年近くかかると言われていますから同じかもしれません。この子宮頸がんはがんの前段階の異形成細胞の時に健診で分るので、健診はとても有意義だと思います。

子宮頸部異形成といと言われたら

子宮頸部異形成とはとは、子宮頸がんの何歩か手前の状態であると言えます。異形成・・・正常とがんの中間の状態。この子宮頸部異形には3つの段階があり

軽度異形成(CIN1) 中等度異形成(CIN2) 高度異形成(CNI3)の段階があります。

軽度異形成ではその5年進展率8.4%、中等度異形成では34.5%と言われています。

高度異形成(CNI3)は子宮頸がんの1歩手前の状態と言えます。軽度異形成(CNI!)中等度異形成(CNI2)と診断されると、3~6か月ごとの定期健診を受けるのみとなります。医療機関ではその間は何の治療も行われません。一部の人が高度異形成に変化するわけですがどのような人が変化するのか分かっていません。子宮頸部中等度異形成(CNI2)が1年以上継続する場合には5年以内に20%が子宮頸頸部高度異形成(CNI3)に変化すると言われています。中等度異形成が続くと不安な毎日を過ごさなければなりませんね。

子宮頸部高度異形成(CNI3)と診断されると、子宮頸部を円錐切除する手術が行われます。手術後の妊娠、出産も可能な手術の様です。

子宮頸がんについて漢方ではどのように考える?

子宮頸がんに限らず漢方では、がんに対しては瘀血(血の滞り)であるととらえます。さらには子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であることが分かっていますから、このウイルスという「邪気」に対して気血水の力が落ちて、免疫力が低下していると考えます。つまり「邪気」をはらう力が落ちていると考えます。まずは瘀血であるという事ですから漢方では子宮の血流を改善して、子宮内に滞っている血を新しいものに新陳代謝をしていく事を考え当帰、芍薬、センキュウ、牡丹皮、桃仁、さらには田七人参などの生薬を使い、血流改善を目指します。また、ヒトパピローマウイルス(HPV)のような強力でないウイルスに対して身体が増殖や持続感染を許してしまうという事ですから、邪気を払う力を養うために身体の気血両方に力を付けていく事を目指し、腎や脾を温めて機能を高めて全身への血流やリンパ液の流れを活発にするために、黄耆、人参、地黄、当帰などの正気を養う生薬を使った漢方処方を考えていきます。

特に、子宮頸部異形成であるという事は、まだがんではないが、がんになる可能性がうかがわれるので、要観察であるという状態です。漢方の世界ではこのように、発病してはいないが、何か不調があり発病の可能性があるという状態を「未病」言います。2000年以上も前の中国の書物「黄帝内経素問」の中に「聖人は未病を治す」と書かれていて、予防の重要性がそのころすでに認識されていたことがわかります。「未病」とは軽いうちに異常を見つけて病気を予防しようという考えです。最近では様々な検査が進歩しており、自分では病気であると自覚できなくても検査異常により身体の変化に気づくことが出来ます。症状は現れていないが、検査値に異常があるという事は、「未病」であるととらえ、その時点で、病気

を発症させないための治療「治未病」が出来るという事です。西洋医学の進歩によって体の状態を知ることが出来、漢方には「未病」に対する治療がありますから、これこそ西洋医学と東洋医学を融合させて、私たちの病気の予防に役立てていきたいところです。

当店では、子宮頸部中等度異形成が2年以上続いて、ご相談に来られ、その方に合った漢方薬をお選びして次の健診では軽度異形成に改善し、その後も漢方薬を続けていただき異常なしとなる方が多くあります。中には高度異形成から軽度異形成へと改善する方もあります。ほとんどの方が、生理痛があったり、冷え性、などの女性特有の悩みを抱えている方が多く、中には子宮内膜症や子宮筋腫を併発されている方もあります。漢方薬は子宮頸部異形成だけを改善するにとどまらず、その他の症状も同時に改善していく良さがあります。もちろん、食養生、睡眠、休養など本人の身体を治そうとする養生が必要なことは言うまでもありません。動物性脂肪の多いジャンクフードばかりを食べて、身体を冷やすような冷たいものの多飲、睡眠不足や過労の状態で漢方薬を服用しても効果はありません。

​ヨクイニン(ハトムギ)の効果について

医療機関と大学医学部との共同研究において、ヨクイニンのエキス製剤を子宮頸部軽度異形成の患者に対して投与するという臨床試験が実施され、有用性と副作用を検討したデータを見ることが出来ます。それによると、ヨクイニンエキスを投与した群では軽度異形成から正常になったのが89.2%、軽度異形成のままであったのが10.8%に対し非投与群では正常化したのが54.2%、軽度異形成のままであったのが29.14%、悪化して手術となったのが16.7%であったという事です。また、正常化するまでの期間に関しては、ヨクイニンエキス投与群で2~23か月、非投与群では8~42%であったというヨクイニンエキスに有用性があるというデータがでたという事です。このようにヨクイニンエキスは子宮頸部異形成に対して役に立つと言えるという事でした

当店でも、子宮頸部異形成のご相談では、その方に合った漢方薬に合わせてヨクイニンエキスを配合した処方を合わせて服用していただく事がほとんどです。ヨクイニンエキスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に有効なだけでなく、老人性イボや首イボなどにも効果がある方が多く、皮膚の新陳代謝を高める働きがあります。シミ、肌荒れ、そばかすにも効能がありますので、普段から美容のためにハトムギ茶を飲んだり、はと麦ポップというハトムギを炒ったものをシリアルのように召し上がるのも気軽に摂取できておススメです。もちろん子宮頸部異形成を診断されたら、ヨクイニンエキスの製剤を婦人薬の漢方薬と一緒に服用されることをお薦めします。

子宮頸部高度異形成が再発する方もありますので、円錐切除の手術ののちに予防のための漢方薬を服用されることをお薦めいたします。漢方薬はこんな時にとってもお役に立ちますから、のまない手はないと思ますよ。漢方薬は女性の強い味方ですから是非お気軽にご相談ください。

​メールでのご相談はこちらから  Lineでのご相談はこちらから オンラインショップはこちらから