2022年07月14日

女性と漢方薬

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 東洋医学では、古来から女性特有の様々な病気や症状に注意が払われ、月経、妊娠出産、更年期、閉経後などの諸症状に様々な漢方薬が用意されてきました。また、冷え性などのように病気ではないけれど不調な症状に合わせても用いる漢方薬があります。現代の女性の疾患で言うとどのようなものに、漢方薬が適しているのかというと、若い人では、「機能性月経困難症」「月経前症候群PMS」「産後の体調不良」「便秘」「ニキビ」「頭痛」「冷え性」など。また、中年になると「更年期症状」「自律神経失調症」など、また、若い人、中年の人問わず「子宮内膜症」「子宮腺筋症」や「子宮筋腫」などは婦人科の受診が必要な時もありますが、漢方薬も大いに役に立つ疾患になります。受診して、様子をみましょうと言われたり、ホルモン剤が合わない時や、基本的にホルモン剤は半年単位での継続になりますから漢方薬の併用も有効です。

また、不妊症の治療は西洋医学が進歩している分野ですが、「体外受精」や「顕微授精」は妊娠の確率を上げることに貢献している反面、妊娠しやすい体を作っていくという面では役に立ちません。子宮の血流や子宮内膜の状態を良い状態にして、元気な卵子や精子を作るお手伝いが漢方薬によっては可能です。現代では妊娠の高年齢化が進んでいるために、ほとんどの方が不妊治療では「体外受精」を受けておられますが、何度もホルモン剤を使って卵子をたくさん作ることで卵巣はどんどん疲れていきます。そんな時、漢方薬を併用すると、子宮を温め、卵巣と子宮の血流を良くして、卵巣や子宮の機能が低下するのを防いでくれます。

​昔から「血の道症」という女性の症状に対する疾患があります

「血の道症」とは産後などに、女性ホルモンの分泌過多や不足などによって、卵巣をコントロールしている脳下垂体ホルモンの分泌が影響を受け、関連するホルモン分泌が異常な状態となる症状が起こります。ホルモンバランスが崩れると、自律神経という体の機能をコントロールしている神経に失調をきたし、身体的な症状と精神的な症状の両方が現れます。

身体の症状としては

のぼせたり頭痛が頻繁に起きる、反対に、身体が妙に冷える感じがする、めまいや立ち眩みがする、急に動悸が起こる、耳鳴り、身体が疲れやすい、眠りが浅くスッキリしない、肩やその他の痛みがある。など様々な症状があります

精神的な主な症状は

不安感や憂鬱感を強く感じたり、イライラして怒りやすくなったりして気持ちが不安定になります

このような症状は産後に良く起こります。産後は1か月は寝床から起き上がってはいけない。精神的にゆったりと育児に専念することが大切で、実家に帰ってお母さんの元でゆっくり過ごせるとよいとされています。この時期に、夫の理解が足りなくて、ケンカが何度も起こるような生活をしていると、「血の道」をうまく乗り越えることが出来ずに、不調が長引いてしまいます。産後うつなどが起こるのも、この「血の道」が原因です。産後は女性にとって大切な期間ですから、周りの協力が大切です。現代では、男性も育児休暇を取ることに理解が得られていますので、実家に戻れない事情があったなら、夫の協力は不可欠です。私も若いころに「そんなに怒っていたら血の道がでるよ」などと言われたものです。イライラ、カリカリすると気の流れが悪くなり「血の道」の症状が出やすくなります。

 妊娠出産は、女性にとって生涯の内で、最も大きな行事であると言っても過言ではありません。母体の体力を想像以上に奪っています。何といっても命を懸けて命を生み出すわけですから。産後に育児をするための体力を失ってしまっていると、自分の生んだ赤ちゃんをかわいいと思うことすらできずに、産後欝に突入してしまう方もあります。産後になんだか体調が悪いなと感じて医療機関にかかっても、頭痛には鎮痛剤、眠れなければ睡眠導入剤と、検査をしても異常がなければ対症療法しかありません。

漢方の歴史においては、産後の女性の身体の事を考え、産後には煎じ薬を飲んどきなさい。とよく言われてきました。妊娠出産は、女性の身体において、特に血というものが大きく動くイベントですのでそれによって気や水も乱れが生じています。漢方薬にはこの「気・血・水」を整えるという発想と力があるため、産後の「血の道」を整える力があるのです。

妊娠出産に限らず、女性は常に「血の道」の影響を受けています

若い女性であれば生理の周期によって、怒りっぽくなったり、妙に不安になったり、悲しくなったりと情緒に影響を受ける人も多いと思います。自分はうつ病なのかと心配になったりすることもあるかと思いますが、生理の周期によって感情の変化があるかどうかを観察して規則性があるようだとそれは生理周期によるものなので、漢方薬で改善する可能性は大きいです。これも最近では「月経前症候群PMS」という病名が認知されてきましたので良いことですね。これも「血の道症」の一つです。また、女性にとっては避けて通れない更年期という時期には精神的な不安や自律神経の症状など悩みを持つ人も少なくありません。単なる自律神経失調症とは違い、女性ホルモンの減少によって起こります。症状は頭痛、肩こり、のぼせによるホットフラッシュ、動悸、めまい、不眠、イライラ、全身の倦怠感、などなど様々な症状があります。現代では西洋医学の治療により、ホルモン剤による治療、鎮痛剤、安定剤などが処方されますが、長く続けると、副作用や依存性が気になります。漢方では江戸時代からこれらの「血の道症」は漢方薬の得意分野で、体質に合わせた処方が多くあります。昔はこんな時は煎じ薬を飲んでいたものでした。漢方薬は更年期の後にやってくる老年期にも対処しながら健やかに年をかさねていくお手伝いが出来ます。

「血の道症」も含めて女性の疾患に良い処方には

四物湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、折衝飲、温経湯、加味逍遙散、半夏厚朴湯、桃核承気湯、当帰建中湯、帰脾湯、酸棗仁湯、などなどまだまだ様々な処方が存在します。

当店では、胃腸が弱く、ストレスにさらされることの多い現代人の体質に合わせて、組み合わせを考えながら、その方に合った処方をお選びしています。

漢方薬は女性の心強い味方となってくれます!是非お気軽にご相談ください。

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