2022年05月12日

子宮筋腫や内膜症、生理痛が辛い人の食養生

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 子宮内膜症、子宮筋腫は増加していると言われていますが、その原因ははっきりとは分かっていません。アメリカの映画女優、マリリンモンロー(1926~1962)は子宮内膜症だったと言われています。マリリンモンロー生誕時には世界で数例しか報告がなかった子宮内膜症が今や全米だけで、患者数600~900万人と言われています。日本でも260万人近くと推定されています。これらの病気は、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて進行すると言われていますので、晩婚化、少子化によって女性の身体が女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなっているという事は明らかな原因だろうと言われています。例えば出産を3回すると、妊娠期間と授乳期間を合わせて約2年間生理が止まりますので3人だと6年間生理がないという事になります。6年間はエストロゲンの分泌が少なくなっているという事ですので、その影響も受けないという事になります。

 その他にも、環境ホルモンの影響や食の欧米化も指摘されています。子宮内膜症は生理痛が非常に強い傾向があり、女性の生活の質を低下させ、家庭や社会での経済的な損失を生んでいます。生殖年齢にある女性の5~10%に発生していると言われています。若いころから生理痛があり、生理とはこんなもんだろうと鎮痛剤でしのいでいる人の中には、子宮内膜症が隠れている可能性があります。「健康な女性には生理痛はない」のですから、早めに対処をしておくことで将来子宮や卵巣の摘出を免れるかもしれません。若い女性の辛い生理痛には漢方薬が本当に適しています。生理痛を甘く見ないで、是非お気軽にご相談いただきたいと思います。

今回はこの子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫に良い食事についてお話しさせていただきたいと思います。これらの病気は上述のようにエストロゲンの影響で進行する病気であることが確かです。エストロゲンは栄養素で言うと脂質に関係して、脂質から体内で作られていますから、まずはその元である動物性脂肪を減らすという事はとても大切です。また、食物繊維を多くとると、腸間で脂質の吸収を防ぎ便として排泄しやすくなるという事がわかっていますので、水溶性、不溶性合わせて多くの食物繊維を含んだ食品を取ることは予防に有効な手段になります。最近若い方の間でブームとなっているオーツ麦は、食物繊維が豊富でなおかつ小麦のようにグルテンを含んでいないことから、腸管での炎症を誘起せず、含まれているβグルカンという食物繊維がLDLコレステロールの低下を助けるというデータもありますので、取り入れてみるのもよいかもしれません。LDLコレステロールは女性ホルモンに限らず体の中でホルモンの原料となる物質ですから一石二鳥と言えます。グルテンを含まないためパンには向いていないので、シリアルなどの製品が販売されています。

 また、食事でいえばやはり、動物性脂肪を含む肉類や乳製品(ヨーグルトやチーズも)を控えることは大変効果的です。肉類の代わりにオメガ3脂肪酸を多く含むマグロのトロや、サンマ、いわし、サバなどを食べる習慣もよいです。イクラやキャビアなどにも多いそうです。魚介類の脂がよくのっているものにはたいていオメガ3脂肪酸が含まれているという事です。私はお客様に、イワシ、サンマ、サバの缶詰をお薦めしています。若い女性はサバやいわしなどの青魚を料理するのは苦手な方が多いですので、これらの缶詰だと気軽に取り入れることが出来ます。市販品の缶詰で100gあたり2000mgのオメガ3脂肪酸が取れるという事ですので、厚生労働省の摂取目標の2倍取れます。また、当店でおススメしているグリーンナッツオイルは植物性のオメガ3脂肪酸を含んでいて、加熱しても壊れにくいので人気です。味噌汁にティースプーン1杯入れたり、コーヒーに入れたりサラダに振りかけたりと、毎日のお食事に取り入れていただいています。

生理の時の痛みは子宮が収縮するように指令を出す、プロスタグランジンという物質が起こしており、痛みの原因となっています。この物質は油で出来ていて、痛みの素となるのはオメガ6系のサラダオイル、バター、肉の油、牛乳や生クリームなどです。これらは筋肉収縮作用のある、「F2αプロスタグランジン」の原料となるという脂肪が多く含まれています。F2αプロスタグランジンは子宮を収縮させ、月経痛などの子宮内膜症による症状を悪化させます。それに対して上記のオメガ3系脂肪酸は痛み物質と反対に生理痛を軽くすると言われています。プロスタグランジンによって引き起こされる痛みを悪化させる原因に、炎症があります。オメガ3系脂肪酸のひとつであるDHAには体の炎症を抑えるというデータもあります。マウスの実験ですが、これらのオメガ3系脂肪酸によって、子宮内膜症の症状を抑制できたという報告もあるようです。子宮内膜症、子宮腺筋症は症状を起こしている場所で炎症が起きている炎症性疾患と言われていますので、炎症を抑える働きのあるオメガ3系脂肪酸は食事に取り入れる価値があると思います。またこれらは血液をサラサラにする働きもありますので、血液の状態をよくするという事は子宮に溜まった血液を良い状態に導く事が考えられるため生理痛の緩和にも役に立ちそうです。

 その他に特に取り入れていただきたいのが、子宮筋腫の食事のところでも述べました、大豆製品です。大豆には「バイオフラボノイド」という植物性エストロゲンと呼ばれる物質が含まれています。これは体内で生成されるエストロゲンよりも作用が弱く、食事の一部として体内に摂取すると、エストロゲンの代わりにエストロゲン受容体に結合します。その結果、体内で作られたエストロゲンの働きが弱まり、子宮内膜症や腺筋症の改善や、予防ができる可能性があると言われています。

 以上のように、子宮内膜症、腺筋症、子宮筋腫の食養生には、バランスの良い食事はもちろん、食事に大豆製品を毎日取り入れたり、お肉類や乳製品を控えて、青魚をはじめとする魚介類をなるべく取り入れて、食物繊維の多い穀物や野菜を意識的に毎日食べることが効果的であると言えます。病気を治すために、養生はお薬よりも大切と言われています。特に食養生は重要です。ジャンクフードばかり食べていては、いくら漢方薬を飲んでもなかなか効果が出てきません。身体は日々食べたもので毎日作り変えられています。食養生、さらには運動や十分な睡眠などの養生も心がけ、その上で漢方薬を服用していただければ、体質改善をしながら病気の改善もさらに効果的と思います。食養生や漢方薬を毎日続けることで、病を自分の力で治す努力をしてみませんか? 是非お気軽にご相談ください。

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