2022年01月14日

子宮筋腫と漢方薬

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 当店では、子宮筋腫のご相談が年々増加の傾向にあります。30代以上の女性の4人に1人は持っていると言われるこの病気、出産年齢が高齢になっている現在、増加の傾向にあると思われます。子宮筋腫はできる場所によって症状が違ってますきます。漿膜下筋腫の場合はあまり症状もなく、妊娠にもあまり影響がありませんが10㎝以上になってくると、周りの臓器を圧迫する可能性があります。粘膜下筋腫は場所や大きさによって受精卵の着床を妨げ不妊症の原因になったり、不正出血や月経過多になることがあります。頸部筋腫は子宮の膣側にできる筋腫で大きくなるとやはり過多月経になり、貧血状態になりやすいです。最後に筋層内筋腫、こちらが一番多く、子宮壁を構成する筋肉層内にできる筋腫です。小さいものではほとんど症状がでないが、大きくなると経血が増えたり、不妊の原因になります。子宮筋腫はエストロゲンの影響を受けて大きくなると言われていますので、閉経後は小さくなると言われています。

このように症状が出ないことも多いこの子宮筋腫ですが、最近では出産年齢が高くなっている影響で、妊活を始めてみると子宮筋腫が大きくなっていて、場所が妊娠に影響を及ぼすために、悩まれてご相談をいただくことが多くなっています。また、40代を過ぎて、子宮筋腫が大きくなり、月経過多による貧血や激しい生理痛でご相談いただく方も多くあります。子宮筋腫があるとわかったら、症状がなくても漢方薬を服用されると、大きくならないように体質改善できますし、小さくなる可能性がありますのでお勧めしたいところです。

今回は、子宮筋腫の体質改善に良い漢方薬についてお話しさせていただきたいと思います。

「桂枝茯苓丸」だけじゃない子宮筋腫のための漢方薬!

 子宮筋腫と言えば漢方薬で有名な処方が「桂枝茯苓丸」という処方です。こちらは生薬の末を丸薬に固めて作る処方ですが、「桂枝茯苓丸料」と言って、この配合の生薬を煎じて飲むこともできます。煎じた方が吸収が早く、少し胃腸に優しいと言われています。この桂枝茯苓丸料という処方はどういう働きをする漢方薬かと言いますと、まずこの処方は体力のある人に使うお薬です。子宮筋腫のある人は子宮の周りが鬱血(瘀血)の状態にあります。体力のある人であれば、その鬱血を取っていくと新しい血がめぐるようになり、働かなくなって淀んでいた血が十分働くようになるという感じの処方です。特にこの処方に配合されている「牡丹皮」という生薬は、体力があり、充血性でのぼせのあるような体質の人のお薬になります。ある程度体力がある人ならば、この生薬で鬱血を取ることが可能です。しかし、体力がなくて、貧血状態になっている人だと、鬱血を取るだけでは、血の働きが回復しません。まずは、血虚の状態である貧血を改善しなければ瘀血の状態を改善することはできないのです。そんな時に、使えるのが「当帰」という生薬です。当帰は比較的体力のない血虚状態の人にも使える駆瘀血薬であると言えます。造血の働きを助けながら、鬱血(瘀血)の状態を改善するという時に使える生薬になります。当店では、子宮筋腫のご相談で、しっかり時間をかけて、その方の体質を見極めてお薬をお選びするようにしています。ある程度体力のある方にはもちろんこの「桂枝茯苓丸料」をお選びし、当店独自の処方である、筋腫を柔らかくする働きのある生薬を足して飲んでいただく事もあります

当店では、この「桂枝茯苓丸料」以外にも、当帰建中湯に四君子湯や六君子湯を合わせて子宮の周りを温めながら、胃腸の働きを整え、水滞と瘀血を改善するという方法をとることもありますし、当帰建中湯に当帰芍薬散を合わせた処方を使うこともあります。さらに四物湯の変方に桂枝茯苓丸料や当帰芍薬散料を補助的に使ったり、やはり六君子湯などを合わせて飲んでいただいたりと、本当にその方によって千差万別の処方となります。

大切なことはその方の”陰陽虚実”をしっかりと見極めて、胃腸の働きも大切に考えて漢方薬をお選びすることだと思っています。

当店で子宮筋腫の漢方薬をお選びした方の多くは便秘が改善したり月経周期が整ったり生理痛やPMSの症状が軽くなったり、胃腸の調子が良くなったりと、身体全体の体質改善につながることも多いです。

WTTCという漢方処方

​漢方の世界ではとても有名な処方である W T T Cという処方、厳密にいえば漢方薬ではなく民間薬、家伝薬の一種で元々は胃腸に良いとして作られ販売されていた。昭和30年ごろにあの「白い巨塔」のモデルとなった外科医、中山恒明教授が胃がんの患者に使ったことから有名になりました。この処方の名は構成薬物のラテン名の頭文字を取って名づけられています。

構成生薬は 藤(Wisteria floribunda) カシ・ミクロバラン(Terminalia chebula)菱実(Trapa bispinosa)ヨクイニン(Coix lachima-jobi)です。

山崎豊子原作の「白い巨塔」のモデルとして有名な外科医山中恒明教授が胃がんの患者に使用して、延命効果があったとして有名になった処方です。漢方の世界ではよく知られた処方で、私も頑固で大きなイボで困っている人や、消化器やノドのポリープにお飲みいただいて、良い結果が出ていることを参考に、子宮筋腫も良性の腫瘍と考え、上記の女性の血流をよくする処方と合わせてお飲みいただく事で良い結果を得ています。(効果を保証するものではありません)

この処方を民間薬としてお作りする事が出来ます。藤瘤がなかなか手に入らないので、チャーガや梅寄生などを代わりに使い4種類の生薬とお茶をして煎じ代行させていただくことが出来ます。国内では2社のみがエキス製品を製造していて、そちらは医薬品の分類になりますが、気軽にお飲みいただく事が出来ます。

 

​30代女性 病院で子宮筋腫があると診断され手術を勧められる

 以前も1.9㎝の子宮筋腫を指摘されていたが、放っておいたところ3年後に2つの筋腫があり合わせて8㎝と言われ、手術を勧められる。まだ結婚もしておらず、将来妊娠を希望しているので、手術はされたくないとのことで、ご相談を受ける。筋腫のみを取り出す手術を受けると、その後1年は妊娠できないこと、そして必ず帝王切開の出産になるという事と、今、手術を受けても結婚して、妊娠を希望するころにはまた筋腫が出来ている可能性もあることから、是非、漢方で子宮筋腫の体質改善をされることをお薦めしました。それほど強い体質でないこと、などを考慮して漢方薬2種類をお選びし、半年間きちんと服用を継続いただいたところ、婦人科の診察で、2つ合わせて8㎝あった筋腫が1つになっており、大きさも4㎝に縮小していた。先生の方は何故かわからないと言われていたとのこと。このまま漢方を続けられることになった。肩こりや生理痛も改善され、体調もいいので喜んでいただいている。

西洋医学では、生理がある状態の年齢では、子宮筋腫が小さくなることはないと言われるようだが、漢方薬の気長な服用によって、子宮筋腫が小さくなったお客様には何度も遭遇しています。更年期間近になって、10㎝以上の子宮筋腫でも、漢方薬の服用で大きくならずに更年期を迎えられる方もあります。

子宮筋腫でお悩みの方は是非漢方薬での体質改善もお考えいただければと思います。

 

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