2021年09月27日

尿もれ、子宮脱・・実は漢方薬の得意分野です。「美容にもいい!」というオマケつき!!

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 笑う、咳をする、立ち上がる。お腹に力が入った時に思わず「あっ・・」ともれてしまった。

急にトイレに行きたくなり、途中で我慢できずに漏れてしまった・・。こんな、経験ありませんか?

尿もれで悩む女性は多く、40歳以上の女性の3人に1人が経験していると言われます。

まず、排尿の仕組みをみていきますと、腎臓で生成された尿は「膀胱」でいったん蓄えられ、ある程度溜まってから「尿道」を通って体外へ排出されます。尿をためておく膀胱と尿を排出する経路となる尿道は左の図のように「骨盤底筋」というハンモック状の筋肉によって下から支えられています。通常、尿道はこの骨盤底筋によってしっかりと支えられており、また尿道括約筋によりしっかり締められているため、尿がもれてしまうことはありません。膀胱に尿がたまると脳から指令が送られて、膀胱が収縮し、また尿道を締めている尿道括約筋が緩むことで、排尿することができるのです。

​尿もれの種類

「尿もれ」とは、尿の排出が思い通りにいかず、無意識の内に尿がもれてしまう状態の事を言います。(尿失禁とも言います)この尿もれには「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」の2つがあり、それぞれ次のような特徴があります。

​腹圧性尿失禁

お腹にちからがはいり、「腹圧」が高まった時に起こる尿もれ。中年女性の尿もれで多く、約5割を占める。咳やくしゃみをした時、笑ったとき、スポーツをしているとき、重いものを持ち上げたとき、急に立ち上がったとき、歩き始める時などに起こる。妊娠や出産、肥満、加齢などで骨盤底筋が緩み、尿道がぐらつく事で尿がもれる

切迫性尿失禁

急に尿意を催し、排尿を我慢できずに起こる尿もれ、高齢者に多い尿もれで、全体の約2割を占めています。トイレに行く途中でもれる、下着を下す間にもれる、冷たい水を触ったり、冷蔵庫を開ける、などの寒冷刺激で、強い尿意を感じる。過活動膀胱などで膀胱と脳との間の伝達がうまくいかず、膀胱が勝手に収縮して尿もれを起こす

残り3割は、この両者を併せ持つ「混合性尿失禁」と言われています

上記のような症状に、医療機関では、弱くなった骨盤底筋を鍛えて尿道を締める機能を強化する「骨盤底筋訓練」を行ったり、尿意を感じても我慢して膀胱に溜められる尿を増やす訓練をします。また、尿道を締める尿道括約筋の収縮を強める作用のあるお薬や、膀胱が収縮する働きを抑えるお薬を服用します。また尿道をメッシュ状のテープで釣り上げて、尿もれを防ぐ手術により膀胱を支える方法があります。

東洋医学ではこのような症状を「腎虚」という言葉でとらえ、対策を考えていきます。

東洋医学で人間の生命力、生殖力の源の”気”を”精気”としてとらえます。気のバランスが崩れると基礎代謝を含めた体のバランスが崩れるため、気を整え、元に戻すことを考えていきます。元気という言葉はここからきています。この”精気”を貯蔵するのが、漢方でいうところの腎(西洋医学の腎臓とは別の意味を持ちます)であり、この”腎”の機能低下を”腎虚”と言います。”腎虚”とは”腎”の精気”が足りなくなり、下半身に位置する臓器の機能が低下した状態で、様々な全身症状をもたらします。歳をとるにつれ誰でも”腎虚”の症状が進んできます。症状は中年以降であれば誰でも現れているはず。足や顔のむくみは腎虚のサイン。さらに頻尿、尿失禁の症状がでてきます。腎虚は上半身にも影響してきていわゆる老化現象が、骨格、筋肉ばかりでなく、神経にも影響を及ぼします。

”腎”(東洋医学では腎臓だけでなく泌尿器系臓器、ホルモンバランス、骨、神経を含みます)をサポートすることで、尿もれ、頻尿を改善する方法を考えていきます。代表的な処方に 八味地黄丸、牛車腎気丸 などがあります。その他にも緩んでいる筋肉をしっかりとさせ、腹部臓器の血液循環を整えていく処方に補中益気湯や当帰建中湯なども使います。

 

当店では「地黄」という生薬のしぼり汁と、人参、麦門冬、沈香、などをハチミツとともに煮詰めた処方を「老化を遅らせる」ための漢方薬として、皆様におススメしています。この漢方薬は、長らく服用することにより、”腎虚”という老化に伴う諸症状を緩やかに改善します。慢性の膀胱炎で悩んでいた方や、頻尿、尿漏れで悩んでい方が、悩んでいることを忘れるようになったと改善され、喜んでいただいています。さらに、白髪が減った、踵がつるつるになった、肌年齢が若くなったと言われた。等美容に良い報告をたくさんいただいています。この処方は、「地黄」のしぼり汁を使っているために、胃に負担になる事もほとんどなく飲んでいただいています

神農本草経に「地黄」について

「久服軽身不老」という記述があり、これは

「地黄」を久しく服していると、身も軽くなり、年をとっても老いをしらぬ様になるという事は、君薬として使用するとき、つまり主訴に対して使用するときは、少々長く服用しても大丈夫であり、又、主訴を取り去ることによって気分も身体もかるくなり、年をとっても若々しく生活を送れるようになるという事をこれで理解できる。とあります。

「地黄」という生薬ををうまく使っていくと、女性にとっては、若々しく、軽やかに年老いていく事に役立ってくれる頼もしい生薬であると思っています。当店では「尿もれ」「頻尿」のお悩みにはこの処方に加えて、前述の「当帰建中湯」や「補中益気湯」、「六君子湯」さらには「四物湯加減」などを合わせて、選薬させていただき、喜んでいただいています。

​もう一つ、尿もれ、頻尿に役に立つ生薬に「反鼻」があります。後述の子宮脱にも欠かせない生薬です。

「反鼻」はマムシの皮膚、内臓を除去し、乾燥したものです。別名「フクジャ」とも呼びます。「反鼻」は少し炒って末にしたものを使うことが多いです。昔から強壮薬として使われることも多いですが、粉末にしたものを服むことで、アミノ酸とミネラルをバランスよく取り入れることが出来、筋肉を作る材料にもなります。何せ、マムシは、足がないにもかかわらず、結構な速さで前進するのですから、すごいパワーですよね!。実際、腎虚の漢方と一緒にこの「反鼻」の粉末と、人参、白朮などを一緒に服用していただくと、尿もれや頻尿(夜間も)を改善していただいています。さらに後述する、「子宮脱」の改善にも役立っています。

次に、日常生活の中で気を付けたいこと。

1)肥満を改善しましょう

肥満のある人は普段から骨盤底筋にかかる負担が大きいため、骨盤底筋が緩みやすくなります。腹圧性尿失禁の原因となる骨盤底筋の緩みを抑えるために、肥満のある人は改善するようにしましょう

2)便秘を改善しましょう

慢性の便秘がある人は排便時にトイレでいきむことが多く、骨盤底筋が緩みやすくなるので、便秘も改善するようにしましょう

3)水分を取り過ぎないようにしましょう

水分を取り過ぎていると頻尿や尿もれにもつながりやすいので、水分の取り方に注意しましょう

4)カフェインやアルコールを控えましょう

カフェインやアルコールには利尿作用があるので、頻尿の原因になります。カフェインを多く含むコーヒーや緑茶、さらにはお酒の飲み過ぎには注意しましょう

5)身体を冷やさないようにしましょう

身体を冷やすとトイレが近くなり尿もれに繋がるので、身体(特に下腹部)を冷やさないように工夫しましょう。

次に「子宮脱」について。

子宮脱とは子宮が膣外に脱出する状態の事を言います。軽度の子宮脱は、歩行時、重いものを持った時、トイレでしゃがんだ時、入浴時などに子宮が膣の外に出てくることで、太ももの間にものが挟まったような違和感や痛みを生じ、陰部よりピンポン大の硬い塊(子宮の入り口部分)を触れます。軽度の症状では、力が抜けると子宮が膣内に戻るため感じなくなりますが、進行すると常に子宮を触れるようになります。また、子宮とともに膀胱や直腸が下がった場合には、膀胱の出口が圧迫されることで排尿困難、夜間の頻尿、などの症状が現れます。

原因は、出産、加齢、長い立ち仕事などで起こりやすくなると言われます。ですから、分娩回数の多い人、高齢者、立ち仕事をする人に多く見られます。

西洋医学では、保存療法と手術があり、保存療法はペッサリーと言われる器具を挿入して、子宮の下降を防止します。欠点としては、器具が当たる部位が、タダレやすくなるという事です。そのため時々休止する必要があることもあり、定期的な交換が必要です。手術は様々な方法がありますが合併症もあり、医師としっかり相談する必要があります。術後に再度骨盤を支える筋肉などの構造が緩むことで再発するリスクがあり、再発予防のため肥満、便秘を防ぎ骨盤回りの筋肉を鍛える(骨盤底筋体操)などを行うことが大切です。

漢方では、この「子宮脱」も前述の「尿漏れ」と同じように「腎虚」ととらえて、治療を考えていきます。漢方薬では、この子宮脱を改善した事例が多くあります。ここでいう改善は、自分の力で子宮の下垂が改善し元の状態に近づくことを言います。子宮脱になるという事は、筋肉の力が弱っている、言い換えれば虚弱体質である、又は一時的にでも体力が低下した状態であるという事が言えます。そのため重力に逆らって子宮や膀胱、腸を維持することが出来なくなっているという事なのです。ですから前述の「頻尿」とほぼ同じような漢方薬で、改善することが出来ます。特に子宮脱の方は前述しました、「地黄の製剤」や「当帰建中湯」「補中益気湯」に「反鼻」を加えて服用いただく事で改善していただいています。歳とともに体力低下で起きた症状ですから、時間をかけていただく必要はあります!! 「腎虚」は歳とともに骨や筋肉、ホルモンの働き、骨の力さらには脳の力も落ちていくという事ですから、どちらの症状も、同じように考えていく事が出来るのです。他の目的で、漢方薬を長らく続けているといつの間にか、尿漏れと子宮脱が両方改善した、などという事は店頭で数多くみられ、喜んでいただいています。漢方は子宮だけ、膀胱だけを見るのではなく身体全体を見て治療するというところがこのような結果を生むのだと思います。時間はかかりますが、継続は力なり!急がばまわれで最終的には良い結果になります。

さらに漢方では、広い意味で「腎虚」を改善する事は歳をとることを遅らせるという意味があるところから、肌に張りが出て、足腰も力が入り、若々しく生活できるという事にも通じてきます。前述の「地黄の製剤」や「反鼻配合の漢方薬」さらには「阿膠」という生薬を長らく服用されると、美容と健康にお役に立てると確信しています。

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