2021年07月21日

瘀血に良い生薬、薬膳・・子宮筋腫や子宮内膜症、腺筋症の方に

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  瘀血(オケツ)とは血の巡りがあまりよくないという体質を表します。この体質の人は体の特定の場所が刺すように痛くなる、そして夜になると症状がひどくなるという特徴があります。生理痛がきついとか、頭痛があるとかという症状を持っている方はこのオケツの体質があると言えます。ですので女性の場合は、子宮筋腫や子宮内膜症、腺筋症などの子宮の病気になりやすいと言えます。女性には生理がありますからこのオケツという体質はついて回りやすいです。生理期間が長いとか、量が多かったり、レバーのような塊が混じる人は確実にオケツの体質であると言えます。皮膚はくすみやすかったり、シミが出来やすいという人が多いです。爪や唇、舌の色が少し暗い色になりやすい特徴もあります。これも原因は血の巡りが悪いところから起きています。また、肩や首が凝りやすかいのも、血の巡りが悪くなっていると言えます。また、オケツの人はちょっとしたことでカッとなりやすいところがあります。性格は別として、オケツによってそうなりやすいのです。そしてカッとなって感情的に高ぶると余計にオケツの状態になります。昔の人が「そんなにカッとなると血の道が出るよ」なんて言ってたのは、こういうことだったのでしょう。また、オケツであるということは血液がサラサラではないということなので、生活習慣病の人は男女問わずオケツ体質であるということが言えます。

 また、血はそれ自身で体をめぐっているわけではなく、「気」の力を受けて巡っていると考えますので、オケツと気の滞り(気滞)や気虚は両方起こっていることがあるので冷えや、精神的ストレスにより、気の滞りが起こりオケツになるということも考えられます。

オケツの人は「活血剤」と言われる、血のめぐりをよくする生薬が効果的です。代表的な活血薬には、当帰 桃仁、牡丹皮、川芎, 紅花、延胡索などがあります。オケツは気滞によって起こることも多いので、多くの場合、気のめぐりをよくする生薬と一緒に使われることも多いです。オケツに使われる漢方処方には、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、折衝飲、芎帰調血陰、通導散、などがあります。その他当帰芍薬散、加味逍遙散、温経湯なども強くはありませんが、活血作用を持った処方になります。実際のところオケツに使う漢方処方には実証体質のお薬が多く、私としては選薬に苦労する事が多くあります。血虚という虚証の体質もあり、さらにオケツでもあるという方が多いですので、血虚にもオケツにも使う「当帰」という生薬は必ずと言っていいほど使うことが多いです。現代人はストレスも多く神経を酷使しているので江戸時代に作られた原方処方では難しいことが多いのです。ですから、ご相談には時間をかけて、体質に合った漢方薬をお選びするよう心がけています。

また、「瘀血」の改善に良い生薬に「三七人参」という生薬があります。中国では昔「金不換」とも言われ、お金に代えがたい素晴らしい生薬と言われていました。現在では、雲南省の特定の地域で栽培され、日本にも輸入されるようになりました。しかし、栽培が難しい植物のため、少し高価な生薬になります。この「三七人参」は活血作用に優れていて、心臓病、肝臓病、止血、消腫(腫れを抑える)散血(血の滞りを改善する)定痛(痛みを抑える)などの働きがあり、血液を掃除する生薬などともいわれています。自律神経のバランスにも良い働きをします。この「三七人参」は昔からある漢方処方には使われていない生薬ですので(日本に入ってきたのは最近ですから)子宮内膜症などで腹部に血の塊が出来ているような方などには根本的な体質改善の処方にプラスして飲んでいただく事もあります。また、心臓病、肝臓病などの活血のためには欠かせない生薬になっています。

「瘀血」体質に良い食材

イワシ・・イワシは青魚のひとつですが、味は甘味、温性、五臓では脾、肝、腎に入る食材です。気を補って血のめぐりをよくする食材とされています。オケツ体質の人に合う食材です。目の働きをよくしたり、鎮静、脳の働きを高める働きがあります。栄養学的にも、EPA,DHAなどの不飽和脂肪酸が多いので、目の疲れや肩こりにもよく、最近では認知症予防にも良いと言われ、記憶力や判断力を高める効果もあります。また、高脂血症、動脈硬化などにもよく、オケツに良いとされるところです。食べ合わせとしては、パセリなどの香りのよい食材と合わせると気のめぐりもよくなって、相乗効果が期待できます。パセリとパン粉を混ぜて焼く「イワシのパン粉焼き」などおススメです。また、玉ねぎ、にんにくなども血流をよくするので合わせると、相乗効果が期待できます。イワシは温性の食材で血流をよくしますが、オケツ体質の人で、体に熱がこもっているような人は、生の玉ねぎやニンニクではなく、セロリのような熱をとる食材を合わせるとバランスよくオケツを改善してくれます。

玉ねぎ・・玉ねぎは辛味の食材ですが加熱により甘味の食材になります。温性の食材で体を温めます。五臓では、肺と脾に入ります。働きは気のめぐりをよくする、胃腸を健やかにする、また、解毒を助けたり、血のめぐりをよくすると言われます。栄養学的には、血液サラサラ食材として有名です。それはアリシンという揮発性の香りのある成分があるからです。アリシンはビタミンB1の吸収を高めて、代謝を上げる働きがあります。食欲がないときは食欲が出てきたり、動脈硬化や生活習慣病の予防にもよい食材です。生でたべると辛味の成分であるアリシンがたくさん含まれますが加熱をすると甘くなり、アリシンは減ってきます。食べ合わせとしては青魚のカツオのたたきに、玉ねぎをたくさん乗せると、カツオのDHA,EPAと組み合わさって、よい働きがあります。生の魚は体を冷やす働きがありますので、体を温める玉ねぎを組み合わせることで、体が冷えるのを防いでくれるという効果も期待できます。また、茄子も血の巡りをよくしますが玉ねぎと合わせることで温熱のバランスが良くなります。血の巡りをよくするためには気のめぐりをよくするとよいと言われているので、セロリなどと一緒い食べると気と血のめぐりがよくなります。

青梗・・チンゲンサイは甘味、平性で、肝、肺、脾に入りやすい食材です。血の巡りの悪いオケツの方に適しています。チンゲンサイの一番の働きは「活血」という血の巡りをよくする事です。平性という中庸の食材ですが、熱を冷ますことによって、イライラを鎮めたり、不安感を取り除く働きがあると言われています。青菜ですので食物繊維が豊富で整腸作用もあります。さらに脾の働きも高めると言われています。栄養的には青菜一般に言えるように、カロチンやビタミンCが豊富です。動脈硬化、生活習慣病、また、シミや美肌に良く、鉄分も豊富ですので貧血予防にも良い食材です。チンゲンサイはアブラナ科の植物で一般的に血の巡りをよくするのに良いと言われています。他には菜の花があります。菜の花は温性で、体を温め、血の巡りを良くして、苦味があり解毒作用もあります。チンゲンサイは温性ではなく平性で活血作用がありますので、体質で使い分けるといいと思います。食べ合わせとしてはチンゲンサイとニラを合わせて調理すると香りも加わって、気のめぐりも増してくれます。また冷えている方でしたら、生姜やニンニクを加えて調理することで、温めながら活血してくれます。

人間は食べたもので体が作られていきますから、漢方薬だけでなく、食養生を少しでも頭の隅に置いて生活すると体質改善につながります。

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