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2021年6月

更年期に良い生薬と薬膳

 疲れ、冷え、イライラ、頭痛、不眠、肩こり、ホットフラッシュ、などなど更年期の症状は様々です。西洋医学的には、女性ホルモン・エストロゲンの減少や老化、ストレスによる自律神経の乱れととらえますが、東洋医学ではこのよう不定愁訴は「気」「血」「水」の乱れと考えます。

 車に例えると、「気」はエンジン、「血」はガソリン、「水」は車の調子を整えるエンジンオイルのようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。女性の体の場合特に重要なのが「血」です。生理のたびに血液が失われますので、「血虚」という状態になりやすいです。また、血が滞ると「お血」という状態になります。またエンジンに当たる「気」が虚しても、疲れやすかったり、やる気が起こらなかったりして、血を引っ張るエネルギーも不足した状態と言えます。

 まずは更年期の症状を改善するために、「血虚」に良い生薬と薬膳を考えていきたいと思います。

「血」とは

漢方では「血」は単に「血液」を指しているのではなく、血液の循環や血によって現れる機能の総称を言います。具体的な働きとして、「体に栄養を運び、体を潤す」「ホルモン分泌を調節する」「精神を鎮める」などがあります。そして「血虚」とはまず、血が不足した状態と言えます。血虚の原因としては、栄養不足、過労、睡眠不足、月経過多や出血などがあります。血虚になると、潤いや栄養が足らなくなるため、肌の乾燥、髪のパサつき、爪が割れやすいなどの美容の悩みのほかに、疲労感、冷え、めまい、ふらつき、目のかすみ、疲れ目などの症状が現れてきます。また、ホルモンバランスの乱れや精神がうまく鎮められずに、月経異常、不安感、イライラなどの症状が現れてくるのが特徴です。ですから、女性にとって「血」の状態を整えるということは、更年期にもとても重要なのです

女性にとって重要な生薬「当帰」

私は「当帰」という生薬が女性にとってもっとも重要な生薬と考えています。ほとんどの方にこの「当帰」を含む漢方薬を飲んでいただいています。「当帰」は婦人科の主薬と言われ、臨床でも最も頻用される生薬です。血を増やす、「補血作用」、月経異常を改善する「調経(ちょうけい)作用」痛みを止める「止痛作用」、便を柔らかくして排便しやすくする「通便作用」があります。

「当(まさ)に帰るべし」

 この言葉は、当帰の名前の由来と言われています。中国では以下のような伝説が伝えられています。

「仲の良かった一組の夫婦がいました。しかし、妻は病弱で、実家に帰って療養することになりました。悩んだ妻は知人から教えてもらった薬草を飲み続けました。すると元気になって、無事に夫の元へ戻ることが出来、”恋しい夫よ当(まさ)に我が家に帰るべし”と言ったことから、当帰という名前が付いたとされています。

名前の由来には諸説ありますが、いずれの説も妻が体調を回復して、夫婦仲もよくなるという点で共通しており、婦人の良薬として認識されていたことがわかります。

 私は、この「当帰」の香りが大好きで、煎じ薬を調合するときにはいつもこの「当帰」の香りに癒されています。セリに似たような香りがします。

当帰は西洋では「Angelica」と呼ばれ昔から使われているハーブです。この語源は「Angel」つまり天使のように婦人の諸病に効く聖薬という意味の他、天使のような子宝にも恵まれるという意味もあるそうです。なので、当帰は西洋でも東洋でも同じような効用があるとして用いられてきたのですね。西洋でも更年期の活力減退などにも使われ、最近では、記憶力の低下を防ぐのに効果があると話題になっているようです。日本でも血流を改善する当帰は脳の血流改善にも効果がある言われています。

 

​次に、女性にうれしい生薬「阿膠」

阿膠はロバの皮などを煮詰めた膠(にかわ)で健康をサポートする和漢素材として古くから用いられてきました。阿膠には「補血作用」の他に、不正器出血などを止める

「止血作用」、また体を潤して、慢性病や過労などで体液が不足した状態を改善する「補陰(ほいん)作用」があります。

この阿膠の本来の作り方は、中国山東省の山奥に湧く澄んだ水を用いて作られ、その水は不純物(アクなど)を取り除くのに適したミネラルを含んだ比重の重い硬水で、その水を用いて、ロバの皮のみを丹念に煮詰めて作られます。近年阿膠の需要拡大に伴い、まがい物が多く出回っているようですが、本来この山東省で伝統的な作り方をされた阿膠のみが本物の阿膠と言えます。

阿膠の働き 「補血」「滋陰」「潤燥」「止血」

「補血」

阿膠には白血球、赤血球などの血液成分を増やす事、血液の循環機能を高める事という働きがあり漢方では「女性の一生は血が身の根本となり、一生血にまつわり、頼るもの」と考えられています。月経、妊娠、出産がすべて血と関係していることからも、女性にとって血液をよくすることは非常に重要であると言えます。

「滋陰」

滋陰とは「補陰(陰を補う)」「養陰(陰を養う)」「益陰(陰をます)」の3つの作用の事です。陰というのは体内で、精、血、水を指します。40歳を過ぎると、陰の気が半分になり、次第に減ってきます。中国の古代漢方理論書「黄帝内経」に「陰を滋養する者は長寿」とあることからも“滋陰”は大切です。更年期には特に。

「潤燥」

潤燥とは体の内外を潤す働きの事です。身体の内側が潤うと

便秘、関節の痛み 喘息、息切れ、空咳などの改善

からだの外側がうる潤うと

アトピーや乾燥によるカユミ、 あかぎれ、たるみ、カサカサ、肌のハリ、ツヤ、髪のパサパサなどの改善

止血」

生理の不正出血、妊娠中の不正出血、外傷による出血

などに対して働きます。

世界三大美人の一人である楊貴妃。「楊貴妃は化粧を洗い流した後でも、ハスの葉に落ちた雨が留まることができないくらいのツルツルした肌である。」と大昔の文献にも記されているほど美肌だったらしい。楊貴妃は「阿膠」を愛用していた。でも、それは内緒にしていた。「私はこっそりと阿膠を服用しているが、あえてそのことは言わずに、私は皇帝のため美しく生まれてきたのだ」と言っている、という文献が存在します。

その他にも、阿膠は西太后が不妊治療に使用し、のちに無事出産するなど、美容のみならず婦人科系の病気に良く用いられてきました。

つまり阿膠は女性の美しさを保つために役に立つのだ。ということは更年期以降の、老化を遅らせるための効果があると言えると思います。さらに、免疫力を高め、疲れを回復し、デトックスする働きもある。

実際は更年期に限らずすべての年代の女性の皆さんに飲んでいただきたい生薬です。特に「当帰」との組み合わせにより相乗効果を発揮して、女性の強い味方となります。

血虚に良い食材

血を増やす食材食材を取り入れましょう

人参、ホウレン草、レンコン、クルミ、プルーン、ブルーベリー、黒ゴマ、黒きくらげ、ひじき、イカ、タコ、イワシ、羊肉、牛肉、鶏肉、レバー、ナツメ、などが血虚に良い食材とされ、薬膳にも取り入れられています。

薬膳レシピとしては、”生の黒きくらげと卵の中華炒め”や”レバーの赤ワイン煮”などがおススメです。

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子宮腺筋症と体質改善

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 女性にとって、生理痛は辛いもの、左のイラストは油汗が出るほどの痛さに辛そうです。激しい生理痛が起こる疾患として挙げられるのが、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫です。この中でも特にきつい生理痛を起こすのが、子宮腺筋症です。子宮腺筋症とはどのような病気なのでしょうか?これは、本来子宮の内側に存在しているはずの子宮内膜が、子宮の壁の中(子宮筋層内)に侵入する疾患です。子宮筋層内に子宮内膜が入り込んでしまうと、子宮の壁の中で出血が起きてしまいます。それにより、本来、しなやかなはずの子宮の筋肉が硬く肥厚してしまうので、様々な症状の原因になります。

 原因は出産や流産、あるいは手術などの機械的刺激により子宮内膜が子宮の壁(筋層)に入り込んでしまう、または子宮内膜症の病変が、子宮の壁の中に発生してしまう、ということによります。子宮内膜症は、子宮内で出来る内膜がほかのところで起こることによります。卵巣に起こることが多いですが、腹膜やダグラス窩などその周辺に起こることもあります。卵巣で起こるとチョコレート嚢胞と呼ばれます。その子宮内膜が子宮筋層内に起こるのが子宮腺筋症。子宮内膜症と同じように原因がはっきりわかっていません。しかし、更年期になってくるとホルモンの低下に伴い症状が治まってくることから、女性ホルモンが関わっていることは間違いないようです。後発年齢は30歳代~40歳代の間です。

 症状としてはとにかく生理痛が激しい、子宮内膜症も生理痛がきついですが、これらの病気の中で最も生理痛がきついと思われます。生理の直前から骨盤の痛みが間欠的に起こります。脂汗が出るほど痛く、鎮痛剤をのんでも仕事に行けないという人もあります。子宮腺筋症と不妊の関係性はよくわかっていませんが、着床しずらくなると言われています。また、流産や早産、破水、産後の大量出血などのリスクが高くなると言われています。子宮腺筋症の方の場合、子宮が硬くなっている事が多く、子宮が大きくなっていくことに抵抗し、早産になりやすいようです。妊娠後半から出産まで子宮収縮抑制剤を服用され、やっとの思いで出産されるという方も多いようです。

 西洋医学での子宮腺筋症の治療法は、症状の強さや、妊娠希望の有無、年齢などによって異なるようですが、当店のお客様では、女性ホルモンの分泌をゆるめて、卵巣機能を抑制し、子宮内膜の増殖を抑える目的でジェノゲストというお薬を処方されておられる方が多いです。しかしこのお薬は不正出血が起きたり、吐き気がしたり、また更年期のような症状(ほてりや頭痛、肩こり、めまい)が起きて続けることが困難な方も多いようです。当店にも、お薬が飲めないので何か漢方薬はないですかとご相談されることがあります。その他、ジェノゲストなどのお薬が飲めない方や年齢や症状の強さによっては手術を勧められることもあるようです。

 漢方では、子宮内膜症や子宮腺筋症は、いずれも女性ホルモンのアンバランスや、血液の滞りが原因と考え、まずはこの血液の滞りを除去するところから考えていきます。そして、漢方薬としてはトウキ、センキュウ、シャクヤク、ボタンピ、トウニンなど血液の滞りをよくする生薬に加え、エンゴサクやゴシツといった痛みに効く生薬が配合された処方を飲んでいただく事が多く、さらにはその方の体質に合った生薬を合わせて漢方薬をお選びしています。この病気は錠剤や散剤などのエキス剤では改善に時間がかかることが多いので、当店で煎じ代行している「煎じ薬」をお勧めしています。やはり、エキス剤との効き目の違いを大きく感じる疾患です。2~3か月の服用で少しずつ、痛みが和らいで来られるお客様が多いです。その上、半年、1年と継続していただくと、新たな子宮腺筋症の発生も防ぐことが出来、妊娠を希望されているお客様には、妊娠しやすい身体づくりのお手伝いが出来ています。この病気は体質改善をされながら、妊娠することが出来ると、その間と授乳中は生理が起こらないため、その間もしっかり漢方薬を飲んでいただく事で、体質が変わり、子宮腺筋症の体質が改善することもあります。このような生理にかかわる病気は「漢方薬」がお役に立てる分野です。西洋医学では、痛み止めやホルモンの働きをおさえたりすることで治療し、対症療法しかなく、お薬の副作用も気になるところです。

若いときから、生理痛があり、学業などに支障をきたすようでしたら、早くから漢方薬を飲んでいただく事で、30代くらいになってからのこのような病気を防ぐことが可能になることも十分考えられます。「生理痛はないのが正常」なのです。最近では生理痛がない人よりもある人の方がずっと多いということです。生理が始まったた時からずっと生理痛はあるものと思い、鎮痛剤をのんで過ごしていたなんて、本当にもったいないと思います。漢方薬の継続で生理痛が起きない体質に変わることは十分可能です。生理痛がない人でも、漢方薬を飲んでおくことで、女性の生活を豊かにを変えていくことが出来るとさえ思っています。漢方薬は美容にもとても良いのですから。生理が始まる年頃、妊娠出産の前後、更年期の時期には是非、漢方薬を服用して、身体を整えておかれることをお勧めします。「漢方薬は女性の強い味方です!」

 子宮腺筋症で苦しい思いをされている方がおられましたら、漢方薬という強い味方があるということを知っていただいて、是非お気軽にご相談いただけたらと思います。ご相談お待ちしています。

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