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女性にやさしい漢方のお話

漢方薬と副作用

202125162240.jpeg 漢方薬には副作用がない?自然の生薬で作られているお薬ですから、食べ物の延長のようなイメージで、漢方薬には副作用がないと思いたいですが、そうではありません。漢方薬にも副作用や、合わないお薬を飲んだ時に体調を悪くすることがあります。

 まず、漢方薬について正しい理解をする必要があります。まず東洋医学による漢方薬の選薬は「病気ではなく病人をみます」人そのものに主体を置いて、全体のバランスをよく見るところから始まります。それとは逆に、まず病気をみて、病気に主体を置き、検査値などのミクロな視点で分析をし治療をする西洋医学とは全く違う治療法なのです。ですから、西洋医学的な病名で、漢方薬を選薬すると、間違いを起こして体質に合わないお薬を飲むことになり、よくない反応が起こることがあります。これは副作用とは言わず、選薬が間違っていたということです。ですから、副作用と、間違った処方を飲むことによる悪い作用とは分けて考えなければいけません。漢方の世界には、「陰・陽」というものがあり、漢方で治療するということはこの「陰・陽」のバランスをとるということになります。簡単に言えば、温めて治すべきか、熱を冷ますべきかという感じです。年を取っていくということは、身体はだんだんと温める力を無くしていきます。年を取るにつれ「陰」に傾いていくと言えます。しかし、これは人によりかなり差があります。一方、子供は陽気に満ちていますから、風邪をひくと熱が高くなります。そして熱にも強いですね。また、よく炎症を起こしてノドが腫れたりする人は陽気が強いと言えます。しかし、最近の子供たちの中には、とても冷えている人もいて、陰陽が錯雑しているので、しっかり問診する必要があります。そして漢方には「虚・実」という判断があり、字のイメージからわかるように、「虚」とは体質が弱い、「実」とは比較的体質が強くて、余分なものが溜まっているイメージになります。「虚」の人は元気がない、栄養がない、潤いが少ないなど不足しているイメージです。ですから、元気(気)や栄養を補う処方を選ばなくてはいけません。一方「実」の人は割と胃腸も強く、しっかり食べて、便秘気味だとしても、ちょっときつい便秘薬も平気で、便が出るとすっきりするというような人のイメージです。そのような人には、血の滞りを改善して便から溜まっているものを出すような治療法が適しています。このような治療を「寫法」と言います。このように漢方で身体をよくすることを考えるときには「陰・陽・虚・実」が最も重要になります。抽象的でわかりにくいですが、漢方を勉強した人には、それを判断するポイントがわかっていますから、時間をかけてこの判断を間違わないようにすることを心がけているというわけです。西洋医学の検査ではこのようなことは何もわかりません。西洋医学で同じ病名のついた人でも、漢方薬局で相談すると全く違うお薬を飲んでいるということはしょっちゅうあります。例えば以前、医療用の漢方薬で、医師の処方された「小柴胡湯」とインターフェロンの併用で、間質性肺炎が起きたと話題になりました。これは、さも漢方薬で副作用が起きたかのように報道されてしまいましたが、使い方の間違いによるところも大きいです。「小柴胡湯」という処方は「少陽病中等証」(病気が陽性反応を起こしていて、まだある程度体力のある人)の人が飲むべき処方です。なのに、あのころ使われいた小柴胡湯の量からすると、肝硬変や高齢者にも使われていたと思われます。このような人は「少陰病虚証」(体力が低下して病気が陰性の情勢になっていて温めて治す必要がある人)ですから、小柴胡湯は病気を攻めるのでかえって悪くなってしまいます。このような人が「間質性肺炎」を起こしたと思われます。オウゴン、柴胡、半夏などによるとされていますが、はっきりしていません。証を間違えて使ったことの原因が大きいと思われます。あれから「小柴胡湯」が悪いお薬になってしまったような気がして、悲しくなりました。漢方的証を見極めて、合った人が飲めば素晴らしいお薬です。自分によく効いたからと言って、同じ病気の人に自分のお薬を分けてあげるといったことは、間違いのもとになります。漢方薬を飲むときには、漢方薬に精通した医師や薬剤師に相談されることをお勧めします。

それでは漢方薬に使われる生薬の中でも注意すべき生薬についてお話したいと思います。

まずは麻黄という生薬

 皆さんは漢方薬や風邪薬でスポーツ選手がドーピング反応で陽性になるというお話を聞いたことはないでしょうか?それはこの生薬の成分「エフェドリン」のせいなのです。このエフェドリンの構造が覚せい剤の「メタンフェタミン」と極めて似ていることに由来します。作用としても、「エフェドリン」は「メタンフェタミン」ほどではありませんが、中枢神経・交感神経に対して刺激する作用があるのです。この麻黄は最もポピュラーな漢方薬ともいえる「葛根湯」に含まれている生薬です。この麻黄は交感神経を刺激しますから、眠気が覚めて、シャキッとしたり、汗が出てきたり、動悸がしたり、精神が興奮したりするようなことがあります。ですから、心臓病を持っているひとや、高血圧の人、糖尿病の人は本当は飲むべきではない生薬です。私も、背中がゾクっとした時などは飲むことがありますが1日に3回も飲むと夕方には少し手が震えてきます。コーヒー好きの人が一緒に飲むと本当に手が震えますよ!葛根湯のほかにも麻黄の入った漢方薬には「麻黄湯」「小青竜湯」などがありますが、「小青竜湯」はこれからの花粉のシーズンにはよく売れていますから気を付けてくださいね。そして某メーカーがよく宣伝をしている痩せるための漢方薬「防風通聖散」〇ッ〇アポSにも多くはないですが入っています。これは葛根湯や麻黄湯のように短期間飲むお薬ではないですから注意が必要です。合わない人が続けていると、気持ちの悪い汗が出るようになったり動悸がしたり下痢が続いたりします。これにはさらに「大黄」という便を出す生薬が入っていますから、よっぽど「実証」(体力が充満している人)で便秘薬も平気、心臓も強い、という人が飲むお薬になります。現代ではこのような「実証」の人は少なくなってきていると感じていますので、相談せず気軽に手に取って買われている人は、大丈夫だろうかと心配しています。漢方薬には配合生薬が書いてありますので、麻黄という生薬が含まれていたら、よく相談をして、飲まれることをお勧めします。

次に「大黄」という生薬が入っていたら、これは便を出す働きがある生薬です。下痢気味の人や、便秘をしていない人は続けて飲まないで下さい。

それから、胃に負担をかける可能性のある生薬のご紹介です。気を付けた方が良いのは「地黄」「山茱萸」「オウゴン」「山梔子」などがあります。これらの生薬配合のものも、漢方を勉強している薬剤師に相談しましょう。「地黄」は「八味地黄丸」などに配合されていて、生薬をそのまま粉末にして、丸薬にするという製法をとっています。その場合、地黄の末は少し胃にさわります。さらに「山茱萸」も生薬末で配合されているので、「八味地黄丸」は胃や腸の弱い人には不向きということになります。この「八味地黄丸」は夜間頻尿や足腰の弱りなどにはとても良い処方なので、少し生薬の配合を変えた製品や、丸薬ではなく煎じたエキスを製剤化したものをお勧めしています。

最後に漢方薬に含まれる生薬で副作用と言えば「甘草」という生薬で起こる「偽アルドステロン症」という副作用があります。写真の生薬は甘草を刻んだものです。症状は、むくみ、血圧上昇、低カリウム血症による痙攣などです。この症状は甘草の量に比例して発現しやすくなります。ほとんどの漢方薬にはこの甘草が配合されていますが、少量なので問題ない事が多いです。特に多く含まれている処方は「芍薬甘草湯」です。最近、こむら返りが起きるお年寄りに医療機関で処方されていますが、この処方は甘草の量がかなり多いので注意が必要です。その他には、「排膿散」「排膿散及湯」「炙甘草湯」などがあります。またステロイド薬のプレドニンとの併用やグリチルリチンの併用でも起きやすくなります。また、食品添加物の甘味料として甘草由来のものが使われていることが多く、重なることで、この副作用が起きやすくなります。「芍薬甘草湯」はこむら返りの原因を解決するものではなく、漢方でも頓服のような飲み方をする処方ですから、毎日飲むのではなく、ベースとしてこむら返りが起きている血行不良などの原因を改善する処方を継続しながら、頓服的に服用する飲み方がベストだと思います。

まだまだ漢方薬をを飲むうえで注意が必要なことは、たくさんありますが、重要なことは、ネットの情報や広告の文句で自己判断するのではなく、漢方を熟知した専門家に相談をして服用する事だと思います。

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